ある意味奇跡 (ページ36)

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まっすぐ生きられないページ36

ノゼル視点

団員が市民に乱暴をした件の報告をまとめ団長に提出をする

「手間をかけさせたな、ご苦労」

労いの言葉をもらい退室しようとする

「それにしてもすごい娘と婚約したもんだな」

Aのことか

実際はしていないが

「あの娘はいろんな噂がある

アカデミーでは教師もかなわなかったとか

数多く受けたプロポーズを男ごと粉砕したとか」

……………最後の言葉は聞こえなかったことにしよう

「少し変わっておりますからね

周りからも言われます」

「………そうではない

花より実をとると言うだけだ

本質を見る賢い目がある」

たしかにそうかもしれない

でもそれがこの王都では"変わり者"になる要因なんだ

退室をした後も思い出す

私を謗る

周りの貴族を謗る

いとも容易く人を操り思い通りにする

そして

中身がないと公然と言い放つ

あいつから見たら私も周りの連中らも

何の価値もないのだろう

たまに同じ部屋で過ごす

特に話すわけではない

刺繍をしたり、本を読んだりしている

あいつの言った言葉に驚いたのは事実

思い通りに動かすと言われ頭にきたのも事実

でも当然だとも思う

私がAとの婚姻をしなくても何ともないが
Aにとっては身内を巻き込むから死活問題だ

そうならないために最善を尽くす

間違いではない

私だってシルヴァ家のために動いている

「何かご用ですか？

ちなみに最近は本当にいい子にしていますよ」

「………ノエルの調子はどうだ？」

さっきまで考えていたことを言うわけにはいかないので違う話題をする

「なぜ聞くのですか？」

「何故とは？気になるのは当然ではないのか？」

「ネブラ様にも同じことをよく聞かれます

あれだけ蔑んでいるくせにね」

「………ノエルは強くなれまい。だから無理をする必要などない」

「貴方は何様ですか？」

Aの目が据わる

どうやら気に障ったようだ

「まるで全てがわかっているよう」

「本当のことだ。どれだけ大きな力をもとうとも
コントロールが出来なければ意味がない」

「………何をそんなに嫌がるんですか？」

「えっ？」

「まるでノエル様を籠の中に入れておきたいかのよう

どうしたいんですか？」

私の目をみる

真っ直ぐに

「ノエルは母上瓜二つに生まれた

……………もう失うことはしたくない」

「マザコンでシスコン

その上ツンデレ？？？

キモッ」

とりあえず水銀の槍を放っておいた