�� ページ8
あとの理由は単純。また6人でワイワイしたい。笑ってたい。
「俺、ヒーローに興味あるんだよね」
そんなこんなありつつ、Nakamuの鶴の一声で、そこからとんとん拍子にことは進んだのだった。
思い返せば、これが最良の選択だったとは言えない。他にも選択肢はいくつもあった。
Nakamuはまだ、元の世界に帰ることを諦めていない。
まあ仮にもそんなことを言えば、病院のお世話は確定である。
ので、周りには適当に、かっこいいから！ と言っておいた。
事実、Nakamuは目立つことも人を笑顔にすることも好きだ。疑う余地なんてどこにあろうか。
＊
「あ、なかむたちやっと来た」
「遅えぞお前ら」
「ごめんごめん。シャケときりやんが解放されなくってさ」
「しょうがないでしょ。マジで担任のせい、これは」
いつも遊んだ公園でBroooockとスマイルは待っていた。
相変わらずBroooockは眠そうで、スマイルは小学生のくせに眉間にシワを寄せていた。
あ、待って。泣く。
最期の別れでもないはずなのに涙腺が緩んできた。
「えーなかむ、泣かないでよ。ぼくも泣きたくなっちゃうじゃん……」
「お前また泣くのかよ」
「スマイルだって泣いたでしょー！」
「泣いてねえ！」
「いや、あれは泣いてたわ」
「でしょお！ きんさんもそう思うよね！？」
「逆にあれで泣いてなかったらなに？」
「スマイルめちゃくちゃ鼻声だったよねあんとき」
「風邪だっつってんだろォ！」
突如始まったスマ虐。でもあれは泣いてたと思うわ。
この人たちこれから離れ離れになることわかってんのかな？
別れなどないような、いつも通りの会話に、出るものも引っ込んだ。
代わりに笑いがこみ上げる。
「ふふ、あはははは！！」
「うわ、急に笑い始めんな」
「んふふ、だってさ。なんか、あはは！」
きっと、いや絶対。俺たちは再開できる！
何の根拠も、裏付けもない。それでも。
今はひとまず、別々の道に進むだけ。
Nakamuは目尻に溜まった水滴を拭った。そのほんのちょっとだけ赤くなった目尻が春の柔らかな日差しに照らされる。
弾けるような笑顔で、Nakamuは右腕を5人の前に突き出した。
「俺たち絶対、6人でヒーローになろう」
それに言葉は必要ない。
5人は不敵な笑みを浮かべ、己の拳をNakamuのそれに突き合わせた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 92人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
銀(プロフ) - 江華。さん» ありがとうございます〜！ 気長にお待ちいただければ嬉しいです〜 (2023年3月9日 22時) (
レス) id: 321732a1a4 (このIDを非表示/違反報告)
江華。(プロフ) - めっちゃ好きです！WTとMHAのクロスオーバーがあまりないのでとても嬉しいです！此れからも頑張ってください！ (2023年3月8日 20時) (レス) id: e323a33df5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：銀 | 作成日時：2022年12月1日 22時
