➂ ページ3
Nakamuがこの世界に転生して早数日。分かったことといえば、この世界線は日本だけでなく、世界の約8割が『個性』という超常能力を持っている、という驚くべき事実に限る。『個性』を悪用する敵『ヴィラン』とそれを『個性』を用いて取り締まる英雄『ヒーロー』が存在するということも付け加えておこうか。
ヒーロー飽和社会である今日の日本において、身内にヒーローがいるのも珍しいことではないらしい。現に、Nakamuが気にしていた『中目黒睦月』の両親もヒーローだった。
あと、『中目黒睦月』は周りと孤立していた。Nakamuはその理由を家庭状況と『個性』だと考えている。元々の性格というのは知らないため理由からとりま除外で。
中目黒睦月、もといNakamuの個性は『言霊』。対象に向けて口にした言葉が現実となる個性だ。一歩間違えば呪いともなりうる危険な個性とも言える。まあ、使用者にその意思がなければ個性は発動しないのだが。
こんな個性だからだろう、中目黒睦月の周りに人がいないのは。
それでも彼と仲良くしてくれている友人はいた。5人も。
「おはよ、なかむ」
「あ、シャークん。おはよう」
「シャークん、なかむおはよ〜。ふぁあ……」
「おはよBroooock。また遅くまでゲームやってたの？」
「そうだよぉ」
「やり過ぎんなよな」
「え、シャークんには言われたくないんですけど」
その5人の友人がワイテルズメンバーと性格が瓜二つで、容姿がキャラデザをそのまま幼くしたようなのには心臓が止まるかと思った。てか止まった。さすがほとんどなんでもアリの世界線。それともドッペルゲンガーかおめーら？
Nakamuがいる3組にはBroooockとシャークん、1組にはきんときとスマイル、2組にはぼっちできりやんがいた。Nakamuの登校初日、休み時間になって話しかけてきた暴力組への衝撃は今もなおNakamuの中に残っている。
当たり前だが、彼らはNakamuのように前世の記憶が入っていない。Nakamuはそれを彼らと初めて話したときに知った。この世界の『ワイテルズ』がこの5人だ。
そう思うと、どうしても元の世界の彼らが恋しくなってくる。高校時代に出会ってから己が転生するまでの、ワイテルズの思い出全て、Nakamuにとっては何にも代え難い大切な宝物だ。声が聞きたい。またバカをやりたい。
「……帰りたいなぁ」
そんな呟きはチャイムにかき消され、誰の耳にも入ることはなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 92人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
銀(プロフ) - 江華。さん» ありがとうございます〜！ 気長にお待ちいただければ嬉しいです〜 (2023年3月9日 22時) (
レス) id: 321732a1a4 (このIDを非表示/違反報告)
江華。(プロフ) - めっちゃ好きです！WTとMHAのクロスオーバーがあまりないのでとても嬉しいです！此れからも頑張ってください！ (2023年3月8日 20時) (レス) id: e323a33df5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：銀 | 作成日時：2022年12月1日 22時
