９.友に似た師匠 ページ10
ある日、私はギムレーに置いて行かれてしまった。
『小娘が動いた』
などと言って、どこかに行ってしまったのだ。
ファウダーと言う人を味方につけに行くとか言っていた気がする。
だからと言って、何故私が付いて行ってはならないのかは疑問だが……。
ギムレーに会って以来の、初めてのぼっちを満喫しようと思い、私は景色の良い場所を探す。
とは言ったものの、方向音痴な私が景色の良い場所などを探しだせるはずがなく、数分後には道に迷うと言う緊急事態になった。
数時間ほど歩き、やっと人がいる街を見つけることができた。
「イーリス……聖王国？」
近くに看板らしいものがあり、そこにはそう書かれていた。
どこかで聞いたことがあるような気がする。
私は適当に散歩をし、ある本屋に入る。
そこには、絵本やら小説、中には戦術書なども売られていた。
その中でも特に気になった本がある。
「戦術師……入門」
私は戦術など苦手だ。ギムレーは軍師だと言っていたが、闘うのは屍兵なので、策を考える必要はほぼないらしい。
私はその【戦術師 入門】という本を手に取ろうとしたとき、誰かの手と重なった。
「あ……すまない」
その聞き覚えのある声に、私は冷や汗をかく。
何故ならその人物は私が１度、魔導書で殴り気絶させた相手だからだ。
「……君、何処かで会ったことがないかい？」
「いえ初対面です」
私が言えば、その人は納得いかないようにこちらを見る。
「あ！はい、これどうぞ！」
思い出されてはマズイので、私は彼が手に取ろうとしていた本を渡す。
「え……良いのかい？」
「どうぞどうぞ！」
彼はよほど戦術書が好きらしい。
嬉しそうに頬を緩めて、優しく微笑む。
その表情は、やはりギムレーとよく似ている。
見た目だけなら、彼とギムレーは本当によく似ている。否、似過ぎている。
まるで、“中身”が違うだけの同一人物かのように……。
「君も軍師なのかい？」
急にそう聞かれ、少し遅れて応える。
「軍師というわけじゃないよ？私の友達が軍師をやっているんだけど、少しでも何か手助けをしたいと思ったんだ」
出来るわけないけどね、そう言って私は笑う。
そんな私を見て、彼は考え込むと、何か思いついたように言う。
「この後に時間あるかな？良ければ戦略について軽く教えるけど……」
「ぜひともお願いします！」
私は嬉しさのあまり、彼の手を両手で掴んだ。
こうして、私は軍師の師匠を得た。
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005(プロフ) - とても感動しました！すごくシリアスな展開からのハッピーエンド素敵でした！ (2018年4月21日 21時) (
レス) id: 1fcd95cf50 (このIDを非表示/違反報告)
やまたこ - 面白かったです100点！ (2018年4月16日 7時) (レス) id: 4e05d1b0ac (このIDを非表示/違反報告)
リムス(プロフ) - 書き人知らずさん» こちらこそ、コメントをくださりありがとうございました。この物語を読んでくださり、ありがとうございます。 (2018年3月23日 12時) (レス) id: 27e40c194f (このIDを非表示/違反報告)
書き人知らず(プロフ) - 感動する物語をありがとうございました。 (2018年3月23日 11時) (レス) id: bdbb5f59e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リムス x他1人 | 作成日時：2018年3月1日 22時
