４１.未来の師 ページ44
もはや立つのもやっとという状態の私たちを見て、ギムレーは嘲笑う。
ここが戦場でなければドSと叫んでいた。
そんな中で、ギムレーはルフレさんに交渉を持ちかけた。
仲間を活かすためにギムレーと同化するか、このまま皆殺しにするか。
「それ交渉って言わないでしょドS竜」
「黙れチビ」
言った瞬間にギムレーに冷たく睨まれそう言われた。ひどい。
「さぁ、選ぶんだ。仲間を助けるために僕と共に神になるか？」
ギムレーは射抜くようにルフレさんを見つめている。十中八九、ルフレさんを取り込んだ後に私たちを皆殺しにするのだろうが……。
「その歳で神とか痛いよギムレー」
「消えるかい？」
「スミマセン」
ルフレさんが選んだ選択は、どちらなのかは聞き取れなかった。だが、ルフレさんがギムレーの体内に取り込まれているのは見えた。
私はルフレさんの後を追い、ギムレーの体内に入る。私の考えが正しければ、ここにいる。
そこは夢で見たのと同じ真っ暗な場所だった。
凍えるような寒さのみが存在する場所。
「師匠、また会いに来ました」
私の声は、その空間でそれなりに響いた。
大きめの声を出したはずなのだが、闇に呑まれるように、私の声はすぐに小さくなる。
「……君は？」
暗闇の中から、声がした。
夢と同じ、悲しげな声だった。
「話は後です。師匠、今から私と、外に行きませんか？陽の光が眩しい場所に。……かつて貴方が殺めた仲間たちのいる場所に」
そのとき、目の前に誰かの姿が見えた。
最初は透明で、徐々に半透明になり、やがてしっかりと、ルフレさんの姿になった。
ルキナのいた絶望の未来で、ファウダーに操られ仲間を手にかけた、もう１人のルフレさん。
「外に、出られるのかい？」
期待のこもった視線を向けるルフレさんに、私は笑って頷く。
「もちろん、外に出れます。でも、１つだけお願いがあるんです」
私が言えば、ルフレさんはゆっくりと頷く。
それを見て、私は薄っすらと笑った。
汚い手を使ってしまうが、この条件を満たせるのは、未来のルフレさんしかいないのだ。
私には、もう出来ないことだから。
未来のルフレさんは、私の出す条件に渋い顔をしたが、思うところがあったのか、なんとか頷いてくれた。
私はルフレさんの手を掴み、上を見る。
先程まで暗かった頭上には、光が差している。
クロムたちだ。
私はそう確信し、その光に手を伸ばす。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 35人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
005(プロフ) - とても感動しました！すごくシリアスな展開からのハッピーエンド素敵でした！ (2018年4月21日 21時) (
レス) id: 1fcd95cf50 (このIDを非表示/違反報告)
やまたこ - 面白かったです100点！ (2018年4月16日 7時) (レス) id: 4e05d1b0ac (このIDを非表示/違反報告)
リムス(プロフ) - 書き人知らずさん» こちらこそ、コメントをくださりありがとうございました。この物語を読んでくださり、ありがとうございます。 (2018年3月23日 12時) (レス) id: 27e40c194f (このIDを非表示/違反報告)
書き人知らず(プロフ) - 感動する物語をありがとうございました。 (2018年3月23日 11時) (レス) id: bdbb5f59e7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リムス x他1人 | 作成日時：2018年3月1日 22時
