４０.最後の戦い ページ43
私たちはギムレー の追っ手を退け、【覚醒の儀】を終えた後、ギムレーのいる、始まりの山まで来ていた。
神竜ナーガは語った。
ギムレーの倒し方は分からない。だが、千年の時間を奪うことは出来るのだと。
ギムレーを倒す方法は、自ら命を絶つこと。
それは、ルフレさんがギムレーを倒しても当てはまるらしい。ルフレさんは、ギムレーと同じ存在だから。
それをすれば、ギムレーと一緒にルフレさんも消えてしまう。
そんなことは、私がさせない。
友と師が死ぬのを黙って見ていられるほど、私は大人しい人間じゃない。
１つだけ、私が独自で考えた方法がある。
ギムレーを倒すのではなく、邪竜という力を無力化し、この世界で生きていける方法を。うまくいけば、ギムレーの中で今も嘆き悲しんでいるルフレさんも救える。
私たちはナーガの力により、ギムレーの本体の背中に乗り込んだ。
「二……クキ……セイオウ……ノ……コ……ナーガノ……コ……ヲ……ホロボセ……」
そこには、ルフレさんの姿をしたギムレーがいた。話す言葉は片言になり、竜と化したギムレーが。
「ギムレー」
私はキミの名を呼び、仲間たちを置いてギムレーの前まで歩く。後ろから仲間たちの制止する声が聞こえるが、私は真っ直ぐに歩く。
「リュ……ヌ……？」
私と目が合うと、ギムレーは僅かに目を見開いた。だが、すぐに元の表情に戻る。
「今さら、何をしに来たんだい？」
ギムレーは怪しく微笑んで小首を傾げる。
「私はキミを止めに来たよ、ギムレー 。心の底から邪竜になりたいなんて思ったこともないのに、それでも邪竜になったキミをね」
私が言えば、ギムレーは馬鹿にするように声を上げて笑う。見下すように、蔑むように、声を上げて笑った。
「僕を止めに？虫けら風情に何が出来る？」
「その虫けら風情にやられる屈辱を、もう１度身をもって体験させるの。久しぶりの大ゲンカなんだから、私も手は抜かないよ」
私はニッと笑い、ギムレーに背を向けて仲間の元へ戻る。今のギムレーは、私に攻撃できないのは分かっている。
ギムレーはプライドが高い。自らが虫けらと評す私に後ろから攻撃するなど、彼のプライドが許さないのだ。
その後、仲間からは質問責めにされかけたが、あくまでもここは戦場だ。そのため、誰も私に何かを聞く者はいない。
だが、ギムレーは広範囲な攻撃を私たちにしかけてきた。それにより、私たちは戦う気力も削られてしまった。
諦めろ、そう言われた気がした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 35人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
005(プロフ) - とても感動しました！すごくシリアスな展開からのハッピーエンド素敵でした！ (2018年4月21日 21時) (
レス) id: 1fcd95cf50 (このIDを非表示/違反報告)
やまたこ - 面白かったです100点！ (2018年4月16日 7時) (レス) id: 4e05d1b0ac (このIDを非表示/違反報告)
リムス(プロフ) - 書き人知らずさん» こちらこそ、コメントをくださりありがとうございました。この物語を読んでくださり、ありがとうございます。 (2018年3月23日 12時) (レス) id: 27e40c194f (このIDを非表示/違反報告)
書き人知らず(プロフ) - 感動する物語をありがとうございました。 (2018年3月23日 11時) (レス) id: bdbb5f59e7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リムス x他1人 | 作成日時：2018年3月1日 22時
