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23.恐怖 ページ26

僕が窓から飛び降りれば、案の定、リュヌは大きな声で悲鳴を上げた。

僕が翼を出して飛べば、リュヌは大人しくなった。あまりこの身体で動くことはないので、翼を使う機会もなかったのだが……。

『綺麗……』

彼女がそう言った途端に、僕の頬は緩んだ。

なぜ彼女の言葉1つ1つに、僕はこうも嬉しいと思ったり、悲しいと思ったりするのだろう。

『私も背負うよ』

『例え世界が敵になっても……側にいるから』

『キミの半身だから』

こんな暴風雨の中で、彼女の声など小さ過ぎて聞き取れるはずがないのに、彼女の独り言をすべて聞き取った自分に苦笑する。

どこか抜けている彼女のことだ。
自分が独り言を言っていることも、それを僕が聞いていることにも気付いていないのだろう。

その独り言が嬉しくて、僕は彼女の背を支えている方の手で、彼女の手を握る。

その手には、彼女から貰った指輪をはめているのだが、彼女はそれに気付いただろうか。

少しでも彼女が雨に当たらないように、僕は彼女を出来る限り抱き寄せる。

そのときに初めて、僕は彼女の異変に気付く。

熱い。

彼女の顔を見ると、そこには幸せそうな顔で寝ている彼女____ではなく、苦しそうに必死に呼吸をする、リュヌの顔があった。

「リュヌ?……リュヌ!」

僕が呼んでも、彼女は応えない。

僕は1度地上に降り、あまり濡れていない大きな石の上に彼女を寝かせる。

かなり衰弱している彼女は、見るからに弱々しく、普段の彼女からは信じられない有様だ。

僕はローブを脱ぎ、リュヌに被せる。

雨で濡れているが、着ないよりはマシだろう。
ついでにフードも被せ、もう1度リュヌを抱える。

僕は翼を広げ、飛ぶスピードを出来るだけ早くする。もちろん、リュヌには負担がかからない程度に。

ただでさえギムレーとしての力をなくしているのだから、あまり力は使いたくない。だが、今はそんなことを言っている場合ではない。

いや、考える暇もない。

リュヌの苦しそうな顔を見て、そんなことはどうでも良かった。

彼女が死ぬかもしれない。
それだけで、勝手に体が動いた。

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005(プロフ) - とても感動しました!すごくシリアスな展開からのハッピーエンド素敵でした! (2018年4月21日 21時) (レス) id: 1fcd95cf50 (このIDを非表示/違反報告)
やまたこ - 面白かったです100点! (2018年4月16日 7時) (レス) id: 4e05d1b0ac (このIDを非表示/違反報告)
リムス(プロフ) - 書き人知らずさん» こちらこそ、コメントをくださりありがとうございました。この物語を読んでくださり、ありがとうございます。 (2018年3月23日 12時) (レス) id: 27e40c194f (このIDを非表示/違反報告)
書き人知らず(プロフ) - 感動する物語をありがとうございました。 (2018年3月23日 11時) (レス) id: bdbb5f59e7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リムス x他1人 | 作成日時:2018年3月1日 22時

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