183話 ↑ ページ29
Aside
日「レシーブなら特訓するっ」
日向が、急に声を荒らげた。
まあ、こんだけ煽られ罵られ黙ってはいられないだろう。だけど。
徹「レシーブは一朝一夕で上達するモンじゃないよ。キャプテン君はわかってると思うけどね」
徹「大会までもう時間は無い。どうするのか楽しみにしてるね」
兄貴はそう言って自転車を漕ぎ、校門へ向かっていく。私が何気なく後ろを振り返る。みんながこちらを、及川徹という人物を見ていた。それもただ見てるんじゃない。睨むように、眉間をしっかり寄せて、ピクリとも動かずに。
何となく忘れていた。
こいつは...青葉城西高校の男子バレーボール部キャプテン、及川徹なんだ。
痛くなって考える余裕のなくなった頭で、ぼんやりとそんなことを思った。
かつては私は、こいつの隣に並べるように、必死に努力した。一時、こいつを超えたと自覚した時だってあった。でも、兄貴はいつも私の数歩先にいて、私に危険が及んだ時はいつでも助けてくれる優しい奴。そういうところが嫌いになってしまった。
いつの間にか、何もかも独りでやろうとしていた。周りに迷惑をかけたくない。兄貴になんか頼りたくない。全て、全て...自分のことは自分でけりをつけるようにした。
...だけど、そうやって手に入れたものは...、チームの敗北と、友情の破壊。
それらは、誰かに頼ってもいいということを教えてくれた。
それでも、今度はまた、別の形で兄貴と戦うことになった。
なんだこれ。
もしかして運命？
そんな運命なんて真っ平御免だけど、でも。
『あのさ、兄貴』
徹「ん？何？」
『次も、負けないから』
徹「…望むところだね」
私がずっと見上げてきたあんたを見下ろしてやるまで、私は諦めねぇよ。
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ゆっち - 丁寧に説明をありがとうございました！これからも更新、頑張って下さい！ (2020年3月6日 10時) (
レス) id: 46cb79ea89 (このIDを非表示/違反報告)
なまたまご(プロフ) - ゆっちさん» ゆっちさんコメントありがとうございます！そうですね、表面上は嫌ってはいますが、心の中では時にはカッコよくて頼りになる、尊敬している兄だと思っていると思います！うまく説明出来ずすみません。 (2020年3月5日 19時) (レス) id: 4eb1927f69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっち - 『本心で』 (2020年3月5日 17時) (レス) id: cc02abbffd (このIDを非表示/違反報告)
ゆっち - なまたまごさんの小説とても面白いです質問なんですが夢主ちゃんは及川君のことをどう思っているのでしょうか (2020年3月5日 17時) (レス) id: cc02abbffd (このIDを非表示/違反報告)
なまたまご(プロフ) - BSさん» ありがとうございます！(笑)これからも頑張ります！ (2020年2月3日 15時) (レス) id: 4eb1927f69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なまたまご | 作成日時：2019年10月22日 22時
