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174話 ページ20

Aside



「ねえ、あんた」


声を掛けられて振り向くと、そこにはニヤニヤと気味悪い笑みを浮かべた女子生徒が立っていた。1人だけでは無い。3人。3人のうち1人は、水がたっぷり入ったバケツを持っている。



『あ、すみません。どうぞ』



クラクラしてきた頭を少し押えながら、私は蛇口を1つ譲った。
バケツを持った女子生徒が、水道に近づいて…




ジャッッパーーーン




一瞬、何が起こったんだかわからなかった。
しかし、冷たい何かが私の体を、髪を伝っていく気持ち悪い感覚だけが残った。
水をかけられた。そんなことはすぐにわかった。
ぴちゃん、ぴちゃんと後味の悪い水滴の音が辺りに響いたあと、女子生徒たちの甲高い笑い声も聞こえてくる。



「ギャハハハハ、マジおもしろ!!」


「徹くんに近づこうとするからだよ、この雌豚が!!」


「アンタには水をかけられるくらいがお似合いだね!!」




けなされ、怒鳴られる。
やだ、え?
なんで私、水かけられてるんだろう。
てゆーか、この人ら私が妹だって知らないの?
あー、ムカつく。殴ってやりたい。



けれど、私の体は動かなかった。
水をかけられて急激に体温が下がり、頭はどんどん痛くなるわ、めまいはするわ、喉が枯れているので声は出ないわ、体が悲鳴を上げているのだ。助けを呼びたいのに。殴りつけてやりたいのに。ぎりぎり歯ぎしりをして睨みつけることしかできない。



体は限界を達し、よろめいた。
必死で水道の縁につかまるが、するすると体から力が抜けていき、うずくまってしまった。
そんな私の哀れな姿を見て、先輩なのだろう女子生徒はさらに笑い声を上げる。
ついには、足で蹴ってくるようになった。
ふざけんなよ。私が風邪なんかじゃなかったら、殴り殺してやるのに。



……あれ、そういえば、前にもこんなことあったなあ。
あれは…

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ゆっち - 丁寧に説明をありがとうございました!これからも更新、頑張って下さい! (2020年3月6日 10時) (レス) id: 46cb79ea89 (このIDを非表示/違反報告)
なまたまご(プロフ) - ゆっちさん» ゆっちさんコメントありがとうございます!そうですね、表面上は嫌ってはいますが、心の中では時にはカッコよくて頼りになる、尊敬している兄だと思っていると思います!うまく説明出来ずすみません。 (2020年3月5日 19時) (レス) id: 4eb1927f69 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっち - 『本心で』 (2020年3月5日 17時) (レス) id: cc02abbffd (このIDを非表示/違反報告)
ゆっち - なまたまごさんの小説とても面白いです質問なんですが夢主ちゃんは及川君のことをどう思っているのでしょうか (2020年3月5日 17時) (レス) id: cc02abbffd (このIDを非表示/違反報告)
なまたまご(プロフ) - BSさん» ありがとうございます!(笑)これからも頑張ります! (2020年2月3日 15時) (レス) id: 4eb1927f69 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なまたまご | 作成日時:2019年10月22日 22時

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