痛覚 ページ4
たこさんとの同居生活、一週間経ちました。
今日は仕事もないし、特にやることもないので
一人で買い物に出掛けました。
たこさんもついてこようとしましたが、何だか
嫌な予感がしたので柱に縛って一人で出掛けました。
ちょっと予想より遅れてしまいましたが、
無事に買い物を終え帰宅しました。
けれど、何故かたこさんが凄い圧を放ちながら
私の腕を触ってきました。
『…どうしました?』
「…折れてませんか、右腕」
『あぁ』
確かに使いにくいとは思いましたが、なるほど。
と納得していたらたこさんは顔を険しくしていました。
「…色々言いたいんですが、貴女…痛覚は?」
『昔から鈍い方なので、まぁないんじゃないですか』
「この怪我はどこで?」
『知らない方にお金を取られかけたので、ちょっと
喧嘩したらこうなったのではないのでしょうか』
「………一先ず、手当てをしましょう。俺は一応
救援知識あるんで、そこに座って、腕は動かさない様に」
特に必要ないと思いましたが、腕はあった方がいいので
とりあえずたこさんの指示に従いました。
『…あ、骨折ってどのくらいで治るんでしょうか』
「基本的に大体三ヶ月から六ヶ月程だと言われていますが、
専門外なので何とも言えませんね」
『これ付けてなきゃだめですか』
「だめです、何言ってるんですか」
『仕事あるんですよ、こっちは』
「…正直、貴女の様な人がこの危険な地区で、
危険な仕事をしてるのは許容できません」
『あなたには関係ないです』
「関係あります、同居人ですから」
『…人の振りをしてるだけの化け物にどうこう
言われたとて何も感じません、無意味です』
「………」
『………』
「…貴女は狂ってますよ、正直」
『存じてます』
「…可哀想に、その狂気に魅入られた側は是が非でも
貴女を手元に置いておきたいのです」
そう言って、やけに、何だか熱っぽい視線が
突き刺さる。
嫌な予感が再び、した。
『………何が言いたいんですか?』
「…まぁ、なんでしょう。端的に言えば貴女を
死なせたくないんです」
『…気持ち悪いし、身勝手ですね』
「どうせ異世界に戻ったらこの関係はなくなるん
ですから、いいでしょ?このくらいは許してくださいよ」
『…まぁ、少しだけなら。無駄だとは思いますけど』
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作者名:徒花(腐女子) | 作成日時:2024年2月9日 0時