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雷「……なあ、あんたのこと…おれもまもるみたいにAって呼んでいい?」
A『え、Aって…?』
おれは、すこしでもあいつに勝ちたいなんて思ってしまっていたんだ。
雷「…ついでにおれのことも、らいって呼んで」
A『わたしが、らいくんを、らいって…?』
雷「…うん、だめ?」
もちろん、まもるよりも遅く…おれはAに出会ったから。…ずっといっしょにいるための約束をしたいと思ったときには、もうまもるに先越されてて。
だから、なにか一つでも勝てるものが欲しかった。
A『ううん、全然だめじゃない…!!おかあさんからは、くんづけとちゃんづけをしようねって言われていたんだ。
だけれど、らいでもいいの?』
雷「…むしろ、らいって呼んでよ。A」
A『…うん、らい、よろしくねっ…!』
そういって、Aがおれの手をぶんぶんと嬉しそうにふって握手する。
正直、A以外の奴にこれをされてたら「さわるな」なんておれは切れてたかもしれない。…けど、他でもない嬉しさでおれは、Aにだけ__その手を握り返すなんてことをしてた。
それでも一個ねがいがかなえば、また一個…ふつふつと湧いてくるのがねがいらしい。にんげんって、やっぱワガママだと思う。だからふと、気になった。
雷「…Aは、クマレッドとオオカミくん…どっちが一番好き?」
それは言い換えれば、ずるい質問で。…オオカミくんと呼ばれたおれのことと、今日俺が仲直りしたまもるのあいぼう__おれにとってはまもると。どっちなんてことが知りたくて。
A『わぁ…、むずかしい質問だね、らい。悩むなぁ…。』なんてAはうーん、と唸りだす。ここでクマレッドなんて言われたら、おれ自身になんの良いこともないってわかってながら、やっぱり知りたかった。
でも、一番大好きなキャラクターという言葉、それが絵本世界だけのものなのか…それとも、どんな作品を飛び越えて、というものなのか気になった。
雷「__…。」まもるみたいに、結婚の約束をできたほどおれはおとこらしくない。なんかそれもそれで、かっこ悪くてムカつくけれど、やっぱり今はAの言葉を待つしかない。…レッドと言われても、それはそれでかまわないから。そうこぶしを握ったとき。
A『__やっぱり、オオカミくんかなぁ?』そうやって、ふわふわとした笑みをこぼしたのはA。
雷「__っ!」
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作者名:ましゅまろ x他1人 | 作成日時:2021年9月23日 19時