【鬼滅の刃】短編夢話集【不死川実弥】 (ページ20)

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鍔にぎざぎざ1 ページ20

白昼の林道に、緑に色付く二振りの日輪刀がひらめく。

竹刀では威力のある技の試し打ちには幾らあっても足りないから偶には真剣仕合を、と不死川に持ちかけられ、それに応えて対峙してから優に一刻は経つ。

怪我をする確率は格段に高くなるが、無闇な攻めだけで無く回避の判断を養う為にも、こういった事は珍しくはない。

鬼相手ではない、純粋に己を高めるための刃鳴りは清々しく、戦いに上気していく自分がわかる。それは不死川も同じようで、いつも以上に見開いた四白眼と好戦的すぎる笑みが此方を睨みつけてくる。
相変わらずちょっと恐ろしい。

大技をいなしてからの振り切り、払い合いからの鍔迫り合いに入りお互い硬直する。純粋な力比べのこの状態では即競り負けるのでなんとか次の技に繋げたいが、その余裕は当然与えられそうにない。

何処かの鳥が横切った折に陽光が白刃に反射し、目を細めた瞬間に左手で押さえ込んでいた峰がずれる。一気に押し返されて刀の柄を握ったままの不死川の手の甲に勢い良く顎を殴打される。

咄嗟に顔を逸らし直撃を躱したと思いきや、首筋に刃物で切られたような鋭い痛みが走る。刃面は私の方を向いていないのに、何故。予想外の感触に思わず怯む。

「いっ…」

「っと、変な当たり方したなァ、大丈夫か？」

互いの足がたたらを踏み、勢いを殺しきれなかったかまいたちが周囲の枝葉を散らす。

続け様に散々技を出した所為か、呼吸が切れて僅か息が切れ始めるが、それ以上に理解がついていかない。同じ柱身分であり忍でもある宇髄との仕合だと刀以外の暗器がわんさか出てきて毎度翻弄されるが、そのような類のものだろうか。

「何か、首の処に刺さった…隠し針でも仕込んでた？」

「いや日輪刀だけだが…コイツか」

一人納得した不死川が手首を回して刀を寝せれば、握られた柄の根元に光る突起物が目に入る。風車型とでも言うのか、なんとも物騒な形状の鍔。

柱が刀や装束に意匠を施すのは少なくないが、それにしたって数多の装具と違いすぎる。