苦くて、甘い。 (ページ8)

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気付いたら、腕を掴まれて

机の上に乗せられてた。

逃げ場なんて.....なくて。

「な、なに.....って

何も知らないって

関係ないってことに

すればいいんですよね？」

そう言ったら、ムッとして

唇尖らせてる。

え？やだ。可愛い....、て

そうじゃない！！

玉「.....別に必要以上に

言わなくてもいいけど

知らないフリとか頼んでない。」

「...」

玉「悪い事してたんじゃないし

ただの珈琲店の

常連ってだけじゃん。」

「......ここ、バイト禁止..」

玉「"家の手伝い"、でしょ？」

「...」

すんごい、強引。

でもしたら話って？

玉「俺が話したかったのは

学校では七瀬、って呼ぶけど

また珈琲飲みに行くときは

"チョコちゃん"って呼ぶねって。」

「.....は？」

玉「あとは、まぁ一応確認ね？

"あのユウタだよ～"って。」

「......それだけ、ですか？」

先生が、うん。って

だってびっくりしたでしょ？って。

なんか.......拍子抜け。

玉「んーー、でも確かに

バレると"なのはな"に

行き辛くなりそうだよね～」

「.....また来てくれるんですか？」

玉「うん？当たり前じゃん

俺あそこ好きだもん。」

"なのはな"───は、

うちの珈琲店の名前。

先生がチョコちゃんの

淹れる珈琲おいしいもんね、って

ああ。ズルいなぁ

好きなのは────、私だけ。

それに秘密の片想いだから

何もやましいことじゃない、か。

.

玉「.....とりあえず、

これからもよろしくね。

ってことで(笑)」

先生が掴んでた腕を離して

私の頬をスルッと撫でた。