苦くて、甘い。 (ページ32)

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一学期が終わる頃には

成績が出て、

指定校がとれる子が

上の順位の子から

優先的に学校を選べて、

その選考もあるから

先生がこの時期に

話を聞きたいのは当然なの。

玉「.....チョコちゃん、

焦る必要はないけど、さ。

せっかく成績良いし

うん。使えるもんは

使った方がいいと思うから」

「...」

玉「それに、毎回

進路希望調査の紙...白紙でしょ？」

そう。私は毎回、

進路希望調査の紙に

何も書かないで提出してた。

でも、

ほんとは......決まってる。

玉「...チョコちゃん？」

「......スト」

玉「ん？」

「す、スタイリスト

....に、なりたい..の」

真子にしか、

言ったことなかったけど

私の......小さな、憧れ。

玉「.....いいじゃん」

「...//」

玉「なんだ。ちゃんと

やりたいことあるんじゃん

...てか、なんで

赤くなってんの？(笑)」

「な、なってません.../」

だって、なんか

恥ずかしいんだもん。

何がやりたい、とか

今まであんま言ったことなくて。

迷ってたのは

狭い世界だってわかってるから

それに、この"なのはな"を

ずっと手伝った方が

いいのかなって

思ったりもしてたから.....

というか、それが

一番ネックだったのも本音。

「.....けど、私

本当はここの手伝いを

続けてくべきなのかも

って思ったりもしてて、」

玉「...」

「だから、その....

お母さんには言えてなくて

自分でも...迷ってて」

先生の目、

見られなくなっちゃった。

俯いてたら、

先生が頭撫でてくれて。

ていうか、

ぐしゃぐしゃにされちゃった。

「先生っ、もう....ひど、」

玉「ほんと可愛いな。」

「っ、//何言って...」

玉「......ほんとに、可愛いよ」

ちゃんとお母さんに

話してみなよ、って

きっと応援してくれるからって

優しく笑ってくれた。

先生としての───、顔。

だけどそれは、大人の顔で

すごく、きゅんとしたの。