苦くて、甘い。 (ページ19)

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チャイムが鳴る

ギリギリに

教室に飛び込んで。

ぼんやりしたまま

数学の授業.....終わっちゃった。

横尾くんも

同じ教室だったから

一緒に教室戻る。

で、何故か藤ヶ谷くんも。

藤「Aさ、

なんか元気なくない？」

「え？そんなことないけど...」

藤「んーー、でも......変。」

なんか、藤ヶ谷くんて

モテ要素半端ない。

横尾くんが

トイレ行ってきていい？って

藤ヶ谷くんと

2人になっちゃった。

「...」

そういえば、

藤ヶ谷くんには

好きな人バレてるんだっけ。

「......私の好きな人、

ほんとにわかっ...てる、の？」

藤「うん？ああ、玉森先生？」

「うわっ、ちょ....！声、声！！」

ここ、廊下なのに...

焦ってる私を見て

Aの方が声でかいって

楽しそうに笑ってる。

て、ほんとにバレてたんだ。

藤「で、先生となんかあった？」

「なんか、っていうか...」

別に元々私の勝手な片想いだし

先生にそういう人がいても

おかしくない訳で────

でもこのモヤモヤを

誰かに聞いてほしかったのかも。

藤ヶ谷くんなら

経験とか、ありそうだし...

なんか話しやすくて。

.

藤「へぇ......、

先生もオトコなんだなぁ」

「うっ....、そうだよね」

藤「ま。この時期だし

"虫刺され"でも誤魔化せるけど

さすがにわかるよな？(笑)」

渡り廊下にもたれかかって

うわ、ちょーいい天気！って

「.......ほんとだぁ」

青い青い─────、空。

もう、夏の匂いがする。

藤「......そんなに好きなの？」

視線を、藤ヶ谷くんに戻したら

少しだけ───困ったような

そんな顔してて。

「........うん。好き..」

大人な先生の目に、

私なんて映らなくても

それでもやっぱり───好き。

藤「......そっか、」

頑張れ、って

頭ぽんってしてくれて。

「....うん。ありがと」

そう言ったら

"今日は照れないんだ(笑)"

って、笑われちゃった。