Astilbe Ⅱ (ページ6)

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#4 ページ6

「Aな、…色々とあったらしいで」

翌日学校で会った祥生は、神妙な面持ちでそう言った

何で祥生が知ってるん、何を知ってるん

いろんなことを聞きたすぎて、でも言葉にならなくて

「…え？」

絞り出した言葉がこれだった

祥生の口から、Aがバイト先の客にストーカー紛いの事をされていたこと、今の学校に上手く馴染めず孤立していたこと、今まで親の代わりにAを育ててくれたおじいちゃんが亡くなったことを聞かされた

「なん、それ…」

「俺も直接聞いたわけやないから、全部が全部あっとるとは限らんけど…」

何で俺、Aのことを祥生から聞いてるんやろう

俺はAの彼氏で、Aに一番近い存在なはずやないん？

「…Aは汐恩に心配かけたくなくて黙ってたんやないかな」

やめろ、知ったような口を聞くな

そう言いたかったけど、一番何も知らなかったのは俺だ

俺だけが何も、知らなかった

Aの側にいたのに

何も、してあげられなかった

『私のこと、好き…？』

あれは滅多に弱音を吐かないAが出したSOSだったのかもしれない

何であの時、好きだよって伝えなかったんだろう

俺にはAが必要だよって、どうして言ってあげられなかったんだろう

こんなにも、想っているのに

後悔ばかりが募ってきて

俺はただ、涙を流すことしか出来なかった