Astilbe Ⅱ (ページ22)

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河野純喜#1 ページ22

幼馴染が夢を叶えた

テレビに映る純喜の姿に慣れないうちに、デビューが決定した

「…これで、さよならだね」

純喜とは高校までずっと一緒だった

私は密かに恋心を抱いていたけど、伝えることはしなかった

本当は高校を卒業する時に伝えようかと思ったけど

「大学は別々になるけど、これからも仲良くしてな！」

そう言われた後に告白なんてできなかった

純喜の言う『仲良く』には友達として、という意味が込められているような気がして

…いや、私がただ意気地なしだっただけ

大学生になってからも時々他の友達と一緒にご飯に行ったり、遊びに行くこともあった

会うたびにまた垢抜けて、かっこよくなっていく純喜を見て心が痛んだ

彼女いるの？なんて聞けなかった

どんな返答が返ってきても正気を保てる自信がなかったし、いないからといって私に可能性なんてないと思っていたから

純喜がオーディションに出ていると知った時はすごく驚いた

でもそれと同時に純喜なら大丈夫だとも思った

彼の明るさ、人の良さはみんなの心を照らす力があると思っていたから

だから名前を呼ばれた時、何も驚かなかった

おめでとうと敢えてメールで送った

私の、せめてもの抵抗だった