Astilbe (ページ43)

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家に帰って、ベッドに身を沈めながら、先程の出来事を思い返していた

「好きって、友達としてってことなのかな…」

Aちゃんの言う好きって、どう言う意味だったんだろう

どんな顔で好きと言ってくれたのか分からなくて

でもあまりにも普通のトーンで言うから

どんな意図で好きだと言ってくれたのか、何度考えても分からなかった

「明日、聞いてみようかな…」

翌日、学校に行くとAちゃんの姿はなかった

いつも朝早く来ているはずなのに

そう思っていると担任の先生が入ってきて、Aちゃんが休みだと言うことを告げた

風邪でも引いたのかな

それくらいにしか思っていなかった

数日経ってもAちゃんは学校に来なかった

よっぽど風邪をこじらせたのかと心配になったけど、そう言えば俺は連絡先を知らない

クラスの女子なら知っているかと思い聞いてみたけど、びっくりすることに誰も知らなかった

俺はひどく胸騒ぎがして、学校終わりにAちゃんの家まで行った

「確かこのマンションだったはず…」

この間Aちゃんが部屋に入るところまでぼーっと見ていたから、どの部屋かもなんとなく覚えている

インターホンを鳴らしてみるけど、反応はなくて

本当に風邪をこじらせて寝ているかもしれないと思うと、数度鳴らすのも申し訳ないなと思い、帰ることにした

「名字なんだが、転校することになった」

翌日、学校に行くと担任がクラスのみんなにそう告げた

みんな少なからず驚いているようだった

家庭の事情みたいでな、と話す担任の声が遠く聞こえた

なんで？こんな中途半端な時期に？

こないだのあれは、なんだったんだ？

よくよく思い返してみればAちゃんは好きだ、とは言わなかった

好きだった、と言った

別れ際またね、じゃなくてバイバイと言った

君はもう、俺に会うつもりがなくてああ言ったの？

じゃあ、なんで最後にそう告げていなくなるの？

言うだけ言ってさよなら、なんて

「ずるいよ、Aちゃん…」

二度と会うことのできないかもしれない人を想い続ける日々が始まってしまった