Astilbe (ページ42)

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帰りが一緒になったのは初めてだった

学校から少し出たところで、一人で歩くAちゃんを見つけて声を掛けた

Aちゃんは少し驚いた顔をしたけど、すぐに微笑んで一緒に帰ろう、と言ってくれた

「Aちゃんと一緒に帰るのなんて初めてだね！」

「今日は部活とか補習とかなかったの？」

「うっ…部活はともかく、補習は毎日ないよ！」

「本当？よく居残りさせられてるのに？」

ふふ、と笑う顔は年相応に見えて、可愛らしくて、何故か安心した

俺には心を開いてくれているんじゃないかって思えたから

「もう！…Aちゃんって家どの辺なの？」

「うちはね…」

聞けばうちとそう遠くなかった

「え！じゃあ家まで送るよ！」

「ありがとう」

そう言ってまたたわいもない話をした

といっても俺がほとんど話して、Aちゃんが相槌を打ってくれる感じだったけど

「ねえ、佐藤くん」

ふとAちゃんが立ち止まって俺を呼びかけた

夕陽のせいか、Aちゃんの顔がよく見えない

「ん？どしたの？」

何か漠然とした不安がよぎったけど、何事もないかのようにそう聞いた

「…好きだったよ」

す、き？

Aちゃんが、俺を？

いつも勉強の時に使わない頭をフル回転させて考えた

でも口から出たのは

「え、？」

なんとも間抜けな声だった

「うちそこなの。送ってくれてありがとう。…バイバイ」

そう言ってすたすた歩き出したAちゃんを眺めることしかできず、しばらくの間立ち尽くしていた