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大平祥生 ページ20
「友達がね、彼氏できたって言ってたの！」
「そうなんや」
「すごく楽しそうでね、惚気もいっぱい聞かされるんだよ〜！」
学校の帰り道、いつものように二人で歩いて帰っているとAはそう言った
「Aは彼氏欲しい？」
「うーん…祥生がいるからいいや！」
そう言って笑うA
何度か繰り返したこのやり取り
その言葉の真意が分からなくて、でも聞けば何かが壊れてしまう気がしていつも聞けずにいる
ずっとAが好きだった
物心ついた頃から隣にいるのが当然だった
はじめはAが笑ってくれるだけで、俺の隣にいてくれるだけでよかった
でも最近自分の心に黒い部分があって
成長してどんどん可愛く、綺麗になっていくAを見て
自分にだけ笑いかけて欲しい、どこかに閉じ込めて俺だけのものにしたい、だなんて
その気持ちをAにぶつけたら、Aは僕の前からいなくなるだろうか
それとも、優しいAはこんな俺でも受け入れてくれるだろうか
「祥生？」
覗き込むように俺の名前を呼ぶA
「俺もAがいるから彼女いらんわ」
そう言うとAはまた笑って同じだね、なんて言う
もう少しだけこのままの関係でもいいかな、なんて思った
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作者名：咲彩 | 作成日時：2021年8月12日 17時
