押せば成る【影山飛雄】【４】

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「…七海の変化に関与できてるのは嬉しいけど、影山は笑わせてんのに俺は泣かせてんのか…」

「多分あの人は俺が行方不明になったとしても泣かずにまず笑うと思います」

「確かに七海はやりかねん」



影山くんが行方不明？お腹空いたらすぐ戻ってくるんじゃない？とか言って笑ってそう。

影山は人のことに鈍いように見えて、七海のことは結構わかってるんだなあ。さすがだ。



「……七海をよろしく頼むよ…」

「…なんで泣きそうなんですか」

「なんか…娘を彼氏にやる時みたいな感覚が…」



もはや親目線になってきてしまった。

最初は変な組み合わせだなあと思ってたけど、どんどん相性が良くなっている気がする。

…恋愛感情はまだ捨てきれないけど、これからは安心して見てられそうだ。




「…菅原さん」

「ん？」



ふと俺のほうにしっかり向き直り、真面目な顔で目を合わせてきた影山。

何を言われるのかとぼーっと待つ。



「俺の知らないAさんの２年間を菅原さんは1番近くで見てきてると思うんで」

「2年間？ああ、高1と高2ってこと？」

「はい。…俺がAさんと出会うまでの間、Aさんを守ってくれてありがとうございました」

「え…」




突然何を言い出すんだこの子！と目を見開く俺。

影山の勢いは止まることなく言葉を続けた。





「これからは俺が守るんで、任せてください」





ぺこ、と頭を下げられる。

あんぐり開いた口からは何の言葉も出てこず、ただただ手だけわたわたと動かすしかない。




「お、お前っ…なに！？なんなの！？」

「？」

「男前すぎない！？！！？」




惚れていい！？とでかい声で言うも、大丈夫ですと真顔で遮られた。

いや、もうこれは親への挨拶じゃん。"娘さんを俺に任せてください"って聞こえたよ俺には！！




「…まさかそんなん言われるとは思ってなかったけど、まあそれっぽく返すとしたら、…幸せにしてやってくれよ」

「うス」

「…いや俺誰だよ！！！！」

「？」




失恋したはずなのに不思議とスッキリしている。





自ら言ったことだ。

恋のキューピッドらしい役割を果たそうじゃないか。





＊＊
菅原編終了です。
彼はこの話において重要人物だと思っているので、
大きな役割をそのうち果たしてもらいます。

素敵なコメント度々読ませていただいております。
ありがとうございます…！
＊＊

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