押せば成る【影山飛雄】【４】

３５- 腫れは引く ページ15

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「あ」

「え？」



私たちのいた空き教室の扉が開くと、そこに立っていたのは何やら段ボール箱を抱えた男子生徒2人。



「縁下…と、影山くん…」

「あ、こんにちは…七海さんと菅原さんこんなとこで何してるんすか？」



縁下と影山くんという謎の2人だった。

首を傾げながらそう聞いてくる縁下。影山くんはキョトンとしつつ黙ってこちらを見ている。



「いや、そっちこそ珍しい2人だね」

「ああ、俺はクラスの係の仕事でここにこの荷物を運んでたんですけど、結構重いなーと思ってたところにちょうど影山が現れてくれて」

「ちょっと、うちの影山くんをパシらないでよ」

「手伝ってくれたんですって」



冗談混じりに縁下を睨むと、苦笑いで返された。

すると影山くんが突然持っていた段ボール箱をその場に置き、空いた手で私の腕を掴んで持ち上げる。



「わっ、どうしたの」

「…これ、なんですか？」

「え？…あ」



彼の視線は私の赤くなった手首に向いている。

スガに握られた跡だ。ついさっきのことなので元に戻っているはずはなく、もう痛みはないが残っているのは少しの違和感。


なんでもない、と言おうとして影山くんを見ると、しっかりと目が合う。

そして彼の逆の手は私の頬にそっと添えられ、親指で目元を優しく触った彼は「泣いたんですか」とまっすぐに疑問をぶつけてきた。


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