３３- 会せば張る ページ1
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「じゃあHRこれで終わりまーす…あ、数学の先生からの伝達で、プリント解けたら係の人に渡しておいてねーだそうでーす」
起立、礼、という声に合わせて頭を下げる。
帰りのホームルームが終わり、担任からの指示を受けた私は数学の授業内で解いていた演習プリントに目をやる。うん、全部終わってる。
さっさと提出して部活に行こう、とバッグを抱えると、ふとあることに気づいた。
「(……やば)」
わらわらとスガのもとに集まるクラスメイトたち。
そうだ、うちのクラスの数学の係、スガだ。
「あ、ねぇ大地」
「ん？」
「これ、スガに渡しといてくれない？」
その時たまたま隣を通り過ぎた同じクラスの大地に声をかける。私の依頼に不思議そうな顔をした彼は、「嫌だ」とばっさり断ち切った。
「なんで！？」
「えっ逆になんでですか！？」
「……は、早く部活に行きたい、ので」
「俺もお前と同じで部活があります」
苦しい言い訳をする私に真顔で言う大地。
そして「まずスガに渡すだけなんだから俺に渡してもらうほうが二度手間だろ」と付け足される。それはどう考えても正論でしかなくて、渋々頷いた。
じゃあなと先に部活に向かってしまう大地を見送り、
意を決してスガに声をかける。
「…スガ」
「んー？」
すごく久々に呼んだ感じのするその名前に、スガはくるっと振り向いた。そして相手が私だということをしっかり目で確認すると、ふっと口角を下げる。
「…ああ、プリント？」
「うん、はい…」
「ん」
私の手に握られたプリントに気づき、彼のほうから伸ばしてくれた手にそれを置いた。
私からプリントを受け取ったスガはそれ以降こちらを振り向くことはなく、他のクラスメイトから集めたプリントたちをトントンと整理している。
「…ねえ、」
「先生ー、これ職員室でいいんすか？」
「おー頼む」
「ウィース」
「………………」
衝動的にかけた声も、偶然かわざとか、完全スルーされてしまった。
思わずその場で俯くと、スガが席からガタッと立つ音が聞こえ、再び顔を上げるとばちっと目があった。
「…行かないの、部活」
「！」
スガが私に向けて放った言葉に、目を見開く。
だがそれ以上何を言うこともなく、スガは教室を出ていってしまった。
普通に声をかけられただけ。
なんなら嬉しいくらいのはずなのに、
冷たく低いトーンのその声に、
私は泣きそうになっていて。
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ゆり(プロフ) - すっごい好きなお話しです！続き楽しみにしてます！ (2023年3月14日 21時) (
レス) @page47 id: 203fcc8e94 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - すっごい好きすっごいなんかもう好き(語彙力とは)、、、最初からここまで一気読みさせていただきました！1話1話の内容がとても面白くて、もっと読みたい！って思えました！！！！！ (2022年1月27日 2時) (レス) @page47 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
まじま。(プロフ) - このままここで続けて欲しいですうう、、。ほんとにこの作品すごく好きです応援してます！！！！！ (2021年3月23日 11時) (レス) id: 605f4aa0b2 (このIDを非表示/違反報告)
のろ(プロフ) - あわわわわわー！オチが上手くいかない感じがすごい好きです。応援してますー！！ (2021年3月16日 22時) (レス) id: 0a1b5d200f (このIDを非表示/違反報告)
ik13ttm(プロフ) - わああああああああああああああついに！！正真正銘の両思いになりましたね！おめでとう！！！もうこの話好きすぎてまだ全然完結しないっていうお知らせめちゃくちゃ嬉しいです…(つД`)ノ (2021年3月16日 15時) (レス) id: a5a5b9bef4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みずかわ | 作成日時：2021年1月18日 0時
