・ ページ35
.
「月島〜ちょっといい〜？」
「…なんですか」
「わかってるでしょその態度は」
伊達工業とお別れし、烏野へ戻る道中。
何食わぬ顔で山口くんと並んで歩く月島に声をかけると、明らかに面倒くさそうな顔で答えられた。
「黄金川くんのことだよ」
「……擬似ユース合宿の時に、七海さんの連絡先をしつこく聞かれただけですけど何か」
「だからそれを知ってたなら詳しく言えって話！なんか匂わせるような言い方されてもさ、よくわからなくてこっちも気をつけようがないし！」
まあ気をつけるといっても今回気に食わなかったのは新主将のほうで、黄金川くんは別になんとも思わなかったけど。
「僕ちゃんと言いましたよね、気をつけたほうがいいですよって」
「誰の何に気をつけるか言わないとわからない」
「…その感じはやっぱり絡まれたんですか」
「うん、しっかりね。まあ黄金川くんに関してはいい子なんだろうなあと思ったけど」
無茶振りされたことまでは言う必要もないのでとりあえずそこまでにしておく。月島は何か悟ったような顔をして、「そうですか」とやはり興味のなさげな態度に戻った。
「ところで七海さんは王様のことを好きになったんですか」
「え？」
「付き合ってるのはもちろん知ってますけど、仮なんですよね？七海さんがちゃんと応えるまでは」
突然そんな話を月島が振ってきたのが珍しく、ぽかんとしてしまう。
「…好きなら好きって言わないと、あの単細胞はいつまで経っても彷徨ってるままなんじゃないですか」
それだけ言うとふいっと顔を逸らし、「山口行くよ」とスタスタ歩いていく月島。
いまだにキョトンとする私に、「ツッキー待って！」と言う山口くんがなぜかこっちに近づいてきた。
「ツッキー、あれでも七海先輩と影山のこと応援してるんだと思います…」
そう苦笑いをして、ぺこりと頭を下げたら踵を返して月島を追う山口くん。
私たちの関係が烏野バレー部を巻き込んでいたのは重々承知だったが、まさか月島までもがそんな風に思ってくれているとは。
改めてバレー部の温かさを感じると共に、私が早くはっきりしなければならない、と責任を感じるのには十分だった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1626人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆり(プロフ) - すっごい好きなお話しです！続き楽しみにしてます！ (2023年3月14日 21時) (
レス) @page47 id: 203fcc8e94 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - すっごい好きすっごいなんかもう好き(語彙力とは)、、、最初からここまで一気読みさせていただきました！1話1話の内容がとても面白くて、もっと読みたい！って思えました！！！！！ (2022年1月27日 2時) (レス) @page47 id: 1a6dd63888 (このIDを非表示/違反報告)
まじま。(プロフ) - このままここで続けて欲しいですうう、、。ほんとにこの作品すごく好きです応援してます！！！！！ (2021年3月23日 11時) (レス) id: 605f4aa0b2 (このIDを非表示/違反報告)
のろ(プロフ) - あわわわわわー！オチが上手くいかない感じがすごい好きです。応援してますー！！ (2021年3月16日 22時) (レス) id: 0a1b5d200f (このIDを非表示/違反報告)
ik13ttm(プロフ) - わああああああああああああああついに！！正真正銘の両思いになりましたね！おめでとう！！！もうこの話好きすぎてまだ全然完結しないっていうお知らせめちゃくちゃ嬉しいです…(つД`)ノ (2021年3月16日 15時) (レス) id: a5a5b9bef4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みずかわ | 作成日時：2021年1月18日 0時
