押せば成る【影山飛雄】【４】

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『七海さん！！！』

『しつこいな〜』

『俺と…』

『付き合わない』




そして3年になり、夏に入る少し前くらい、

それまで大きな動きを見せなかった２つ下の後輩が
突然七海に付き纏い始めた。




『なんでですか！』

『好きじゃないからかなー』

『…じゃあ好きになってください』

『お願いされてなるもんじゃないってば』




クールに見えて、意外とお調子者なはずの七海は、

苦労人みたいな顔をよくするようになった。




『ほんとなんなのあれ…疲れる…』

『後輩をそそのかすんじゃないよ』

『そそのかした覚えないんだけど』




いつもヘラヘラしてて楽しそうな七海が誰かに振り回されているのが新鮮で、最初は面白がっていた。

こんな七海、俺は見たことなかったから。




『…好きです、』

『あら？今日は元気ないね』

『七海さんがうるさいって言うんで』

『別に声量のことを言ってんじゃないですー』




しばらくすると、七海の影山に対する対応が少し変わってきた。

あんなにも迷惑そうだったのに、気がつけばなんだか少し楽しそうで。俺とか友達と話す時の笑顔とはまた違う、"面白いものを見つけた子供"のような笑顔。




『影山くんめっちゃおもしろい』

『…あんま弄ぶなよー？』

『人聞き悪いなあ』




それはいつのまにか、

自分のことをまっすぐ好いてくれる、愛おしいものを見るような表情に変わっていって。



俺の知らない七海の姿に、

少しだけ違和感を覚えた。








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菅原編が思ったよりも長くなってびっくりしてます。
書いてて切なくなってくるので早く終わらせたい笑
コメント励みになっています。ありがとうございます！
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