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朝練、午前の授業も終わり、昼休み。
いつものように潔子ちゃんと机をくっつけて昼食を取る。
「……………」
「…A、どうしたの」
「ん?」
「なんか今日、ぼーっとしてる」
お弁当の卵焼きを上品に食しながら尋ねてくる潔子ちゃんに、思わず苦笑いをこぼす。
「何もないよ、疲れてるのかな」
「影山が帰ってきたから、てっきり喜んでるんだと思ってたんだけど」
「それは嬉しいよ。あ、そういえば今日の部活さ、」
スガとのことを言えるはずもなく、適当に濁しながら違う話題を提示する。
そんな私を不思議に思ってか、潔子ちゃんは私の話を「ねえ」と珍しく遮った。
「…何かあったら、私に言ってほしい」
「え?」
「マネージャーだし、女の子だし、影山や菅原たちにはない共通点が私にはあるでしょ」
ね?と眉を下げて笑う潔子ちゃん。
春高前だし、部活のみんなには迷惑かけたくないし、
巻き込まないほうがいいと思ってた。
けどやっぱり、何も言わないほうが迷惑だ。
私も逆の立場だったらそう思う。
「うん」と俯き気味で頷く私に、潔子ちゃんは嬉しそうに笑った。
☆☆☆
「…菅原が?」
「そう、昨日言われちゃって」
昨日と一昨日、スガとの間にあったことを伝えた。
あったことや言われたこと全ては言えないものの、
言ってもよさそうなことは全部。
「そうだったんだ。全然気づかなかった」
「私もなの」
「…菅原も、気づいてなかったってことだよね」
「たぶん…」
正直スガのことは友達としてしか見れていなかった。
仲の良さから『付き合ってるの?』なんて聞かれたこともしばしばある。その度に、私とスガは『付き合ってないよ』と笑顔で答えた。
「…距離置くことで何も支障が出ないならいいけど、
だからといってそれが正解とは言えないかもね」
「だよねぇ…部活では必要最低限のことしか話してくれないし、教室では関わってすらこないからなんか調子狂っちゃう…」
いくらあっちが好意を持っていたとしても、私にとっての大切な友達には変わりない。
どんな理由であれ、いくら前もって宣言されたとはいえ、友達に避けられるのは辛いのだ。
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ゆず - 潔子さんですかね?ツムの相手...多分 (2022年3月29日 20時) (レス) id: 6e45ef3c26 (このIDを非表示/違反報告)
ますたーど(プロフ) - 侑の相手を教えて欲しいです!あと、めっちゃ面白いです!更新楽しみにしてます!頑張ってください!! (2021年1月11日 23時) (レス) id: 3093210ab7 (このIDを非表示/違反報告)
ハルカ(プロフ) - 2人の距離が近づいていくのが見ていて楽しくてニヤニヤしてしまいます!でももっと続いて欲しいなぁとも、、笑 これからも更新楽しみにしています!応援してます!! (2021年1月5日 10時) (レス) id: 14de8ea307 (このIDを非表示/違反報告)
あ - 侑の相手を一生懸命考えて「えろい子」で答えが導かれたのですが、とても興奮しました!!更新自分のペースで頑張ってください! (2021年1月3日 2時) (レス) id: f4b1ede0d3 (このIDを非表示/違反報告)
きなこもち - 初めまして! いつも更新されるたび、楽しみに読んでます!これからも無理のないよう更新頑張って下さい! あと侑君のお相手が気になります・・・教えて頂けませんか? (2020年12月31日 21時) (レス) id: 670cc138d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みずかわ | 作成日時:2020年12月26日 16時