押せば成る【影山飛雄】【３】

３０- 欲せば巡る ページ31

.
NO視点
.



ユース合宿も残り1日、という状況の中、

宿舎にて、風呂上がりの影山飛雄は携帯と睨めっこをしていた。



「……………」

「影山？そんな怖い顔してどうした？」

「！」



突然背後からかけられた声に驚き画面から目を離すと、逆にその反応に驚かされた人物は「おおっ？」と声を上げる。

2人の目が合いお互いがお互いの存在を認識すると、すぐにその場は柔らかい雰囲気に戻った。



「古森さん」

「ごめんな〜、そんなびっくりするとは」



はははと眉を下げて笑うのは井闥山2年のリベロである古森元也。

面倒見のいい気質である彼は、携帯を見ながらかなり難しい顔をする影山がついつい気になって話しかけてしまったのだった。



「……七海、A？」

「えっ」

「あ、ごめん、画面見えたからつい」



影山の携帯の画面に視線を戻した古森は、視界に入ってきた情報を思わず口に出して読み上げる。

なぜAさんの名前を知っている！？と顔に出ていた影山に弁解すると、影山も納得したように画面をまた見た。



「それ、もしかして彼女？宮が言ってた」

「…うす」

「やっぱそうだったか。で、なにしてたんだ？あ、もしかして今から電話するとか？」



宮が言ってた、という一言に「もう広められたのか」と複雑な気持ちになりながらも、古森の問いに影山は少し暗い顔をした。

.

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す