押せば成る【影山飛雄】【３】

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それからしばらく経った日の放課後、
私は委員会の仕事で少し部活に遅れていった。



「すいません遅れました〜…」

「お、七海！聞いたか！」

「ん？」



ぺこっと頭を下げながら体育館へ入ると、
大地が何やらワクワクした顔で駆け寄ってくる。

その後ろには影山くんも同じような表情で立っていて、私が首を傾げると大地が浮ついた声で話し始めた。



「影山が全日本ユース候補の合宿に呼ばれた！」

「え、ほんとに？」

「うス！」



大地の話を聞いて目を見開いた私が影山くんに聞くと、彼もまた浮ついた声で返事をする。

ユース候補。全日本。合宿…

これまた凄い事になってるんだなあ、と思いながら
「すごいね」と言えば、なぜかポカンとした顔で2人に見つめられる。



「…なに？」

「いや普通もっと驚かない！？」



恐ろしい剣幕で両肩を掴んで揺さぶってくる大地。



「うん、驚いてるよ？そこそこ」

「そこそこ！？…ほら！影山がショック受けてるじゃねえか！！」



信じられないといった顔で叫ぶ大地の背後には、ガーン！と効果音がつきそうな顔で影山くんが棒立ちしている。

私はそんな姿に苦笑いをこぼしながら、大地に向かって言った。



「だって影山くんがめちゃくちゃ凄いのはもうわかってるもん。"そりゃそうだよね"って感じ」



にこっと笑って「ね」と影山くんの顔を覗き込む。

すると彼は途端に目をキラキラさせ、「はい！！」と
ビシッとした姿勢で良い返事をした。



澤村「お前がそれ言ったら俺らが影山の凄さわかってないみたいになるだろ」

「べつにそんなこと言ってるんじゃないんですぅ〜、行こ、影山くん」

影山「うス！！」

澤村「……か、影山…俺より七海なのか…っ！？」

菅原「いやそうだろ」

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