押せば成る【影山飛雄】【２】

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「…………」

「影山くん？顔怖いよ」

「……好きです。めちゃくちゃ好きです」

「え？」



私の煽りにやけくそになったのか、影山くんは突然
勢いで流れるように話し始めた。



「…Aさんがめちゃくちゃ好きだからこそ、さっき、体が勝手に動いてました」

「…………」

「俺が助けないと他の誰かに助けられるって思うと、なんか、こう、自然に…」

「…そう」

「はい」



だんだんと赤く染まっていく彼の頬に手のひらをなんとなく置いてみる。

ビクッと肩を震わせて私を見下ろす影山くん。
なんだか自分でもよくわからないけれど、その姿がなぜかものすごく愛おしく思えてきた。



「…あの、…？」

「ありがとう」

「！？！！？！？！！？」



また両腕を彼の首に回し、お礼を言いながらぎゅっとくっつくように抱きつく。

声こそ出ていないがわかりやすすぎる動揺に笑いそうになったが、今回は我慢してあげた。



「…Aさ、ん、あの、」

「どしたの、影山くん。足止まってるけど」

「………(こんなことされたら止まるだろ…！)」

「保健室もうすぐだよ」

「あの、じゃあ、一旦離れ、て」

「無理ー」

「っぐ…っ！？！！？」



いたずら心が湧いてさらにぎゅっとくっつき影山くんの首元に顔を埋めると、まるでパンチでも喰らったかのような声を出して動揺する影山くん。

イチャイチャすんな、といつもバレー部に言われるたび「どこがだよ」って思ってたけど、今回ばかりは認めようと思う。

これは紛れもないイチャイチャ、…な気がする。



「…このままずっと止まってていいすか」

「ダメだよ。保健室連れてってよ」


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