押せば成る【影山飛雄】

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影山「ダメに決まってるじゃないすか」



烏野もちょうど休憩に入ったらしく、選手たちがわらわらと戻ってくる。

タイミングが悪すぎた。「やばい…」という顔をして周りを見ると、コーチもマネージャーもみんな同情の目を向けてきている。



「…聞いた？話」

影山「ウス。音駒にいくんすよね」

「はい」

影山「ぜってえダメです」

「……でもそれは影山くん個人の事情で」

影山「個人の事情で何が悪いんすか」



珍しく冷静な口調で私を睨んでくる影山くん。

好きな人に向ける目線ではないだろ、それ。



菅原「でも影山はプレーに影響出るタイプじゃねーべ？俺たちに不利益はそんなにないじゃん」

影山「モチベーションが下がります」

「烏野を応援することには変わりないから。応援する場所が変わるってだけで」

影山「試合終わって戻ってきた時に七海さんがいないってことっすよね」

「…まあ…」

影山「無理です」

「……………」



どうしよ、と眉を下げて悩んでいると、
ピー！と休憩終了の合図が鳴り響いた。

烏野は次の試合が始まる。



「あっ！始まる！！影山くんいっといで！！」

影山「七海さん！！ダメっすよ！！」

「早く！試合始まるよ！もうみんな行ってる！！」

影山「くっ……」



ぐいぐいと影山くんの背中をコートに向かって押しながら無理やり宥めると、やはり大好きなバレーには勝てない影山くんは渋々といった形でコートに戻っていった。

私が行っちゃうの勘づいてるんだろうな。



「…ごめんね影山くん……」

烏養「はははは、気にせず行ってこい」

「なんかすいません。私悪くないけど」

菅原「確かにお前は悪くない」



少々手間がかかったが、やっと音駒高校のいる場所へと戻ることができた。

…コートの中から少し、睨まれている気はするけど。

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