押せば成る【影山飛雄】

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成田「あ、七海さん」



俺の言葉に返事をするように突如聞こえてきた声に振り返れば、成田さんの言葉通り、その人はいた。



「ごめん、一応ノックはしたんだけどね。盛り上がってたからか聞こえなかったかも」

田中「男の部室にノックなんていらないっすよ！！どんどん土足でどうぞ！！そのまま俺たちを踏んでもらって構いません！！」

西谷「と潔子さんにお伝えください！！」

「ああ、うん、はい」

木下「(相変わらずのスルースキル)」



何かを探しにきたのか、部室に入ってきて用具入れをゴソゴソと漁り始める七海さん。

田中さん西谷さんからの清水先輩への猛烈な態度を七海さんが軽くあしらう姿はいつも通りだが、明らかに少し笑顔だし雰囲気も柔らかい。

…俺と、やってること変わんねえのに。



「七海さん」

「…ん？」



俺が七海さんを呼ぶと、背を向けたまま一拍置いて返事をしてくれる。

周りの部員もなんか知らねえけど静かになって、その場に緊張感が走った。



影山「俺は具体的にどう迷惑ですか」

「……」

田中「(か、影山…！直接的…！！)」

影山「田中さんや西谷さんが、清水先輩にアピールするのとどう違いますか」

西谷「え、俺ら？」



ピタ、と七海さんの作業する手が止まる。

また少し沈黙があったが、七海さんはまだ口を閉ざしていて、代わりに縁下さんが「ああ」と声を上げた。


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