押せば成る【影山飛雄】

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「………えっ？」




本当に、時が止まったように感じた。

時間も遅く、人通りも車の通りもない夜道で2人向き合い、感じたことのない空気が流れる。

…好きって、言った？




「……………」

「…す、好き？」

「……………」

「それって………………は、？」




まだうまく状況が掴めてないながらに言葉を絞り出していると、少し俯き加減だった影山くんの顔が上がる。

ほんのり赤く染まった表情。何かの冗談じゃ、とさえ思っていたものの、後輩の初めて見た雰囲気に、全てを悟った。



ガチだ。

これは正真正銘の告白だ。




「…そ、そうなの…？」

「………本気なんで」




私に告白してきたという点はもちろんだが、まず、

影山くんって告白するんだ、という驚きのほうが強いかもしれない。

恋愛には興味ないタイプだと勝手に思い込んでいた。




「…で、続きなんですけど」

「うん」

「………俺と、付き合ってください」




久しぶりになんか緊張してる。
人の好意って、こんなにも気づかないものなのか。

はたまた影山くんが隠し上手だったのか。




「ごめん」




それでも返事は決まっていた。

別に今、影山くんの他に好きな人がいるわけではない

彼氏がいるわけもない

けど




「影山くんのことまだよくわからないし、付き合うってほどの関係性じゃないと思う」




本音を全てぶつける。

気を遣って優しく断るのも可能ではあったが、バレー馬鹿の影山くんはこんなことごときで何かに影響が出ることはないだろう。

そう考えていたのは、間違いだと気づく。


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