押せば成る【影山飛雄】

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そおっと、寄りかかられてるほうとは逆の手を伸ばし、七海の頭の上に持っていく影山。

お、やるのか、とニヤけながらその様子を見つめる。



影山「………」

「………ん」

影山「！」



影山がぽんぽんと慣れない手つきで優しく頭を撫でると、七海の目がゆっくり開く。

動揺した影山の手はそのままで、影山と七海の視線がばちっと交わった。



「…………」

影山「…な、七海さ…」

「……ふ」

影山「！？」



多分、ぼんやりとした頭の中で「またやってる」などと思っているのだろう。

寝ぼけた目でやんわりと笑った七海は自分の頭に置かれている手を退け、今度は自分の手を伸ばす。

そのまま影山の頭にぽん、と優しく置いた。



「……おやすみ、」



そして手を戻しゆっくりと元の定位置に戻り、今度は自分の意思で影山に寄りかかって目を閉じる。

この一連の流れに、俺と田中はもうもはや一本の映画を観たような気分で胸を押さえた。



菅原「…七海のこと好きじゃなくて良かった…」

田中「影山…今のはさすがに」

影山「」

田中「あ、死んでる」

菅原「だよな〜」



東京に着くまで、あと数時間。

影山のバレーに変な支障が出ないといいけど、なんて心の中で笑いながら前を向いた。


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