カランコエ another story

episode 10 ページ10

『もし あのときに 追いかけてたら

どんな 未来で はにかんだ 笑顔見れたのだろう』



他の客とのアフター中に偶然あってAにキツいことを言ってしまったとき、Aが照と一緒にいるところを見たとき。


素直になれなくて…突き放してAは俺の前から姿を消した。



もし、受け止めてたら違った未来があったかな。



『君の名前呼ぶだけで 世界が満たされていた

どんな過去 君のキズを すべて俺の中で守りたかった』



Aの家庭環境を知ったのは俺の前からいなくなって結構経った時だった。


頻繁に来ていた、今日の夜会いたいというLINEも嬉しかったのに自分の気持ちにセーブをかけてわざと無視したりした。




Aが悲しい顔で笑ってるのに、何か触れちゃいけない気がして…俺はAの気持ちから逃げた。


もっと、俺に余裕があったら守ってやれた？


もしかしたら、Aを守る自信がなかったのかもしれない。




『もしも声が届いたら 俺はここで待ってるよ

ひとりじゃ消えそな愛だから 二度と無いこのCrazy Love』



もう届かないし、俺は前を向かないといけない。


いっそのこと消えてなくなってほしい。


愛してる。その一言が言えなかった。


こんなにも、もどかしくて苦しくて難しい恋は二度とないかもしれない。


それでも、俺はAを愛してた。



歪んだ愛だとしても。

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