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一晩中考えた。
鏡を見て、声を出して、時々パニックになりそうな気持ちと戦いながら…
答えは出た。
私の頭がおかしくなっていないのであれば、ここは東京の病院。
そして、何がどうなったのか、私は見ず知らずの誰かの身体に入っている。
彼らは私をレオナと呼んだ。
何かが起きて、1週間眠ったままだったようだ。
鏡を見た姿は、目はクリクリでショートボブ、身長は…155センチ位?
20代後半のようだ。
いやいや…。
10歳近く若い身体に入っちゃった?
………苦笑い。
そして、HIROさんの話から、彼女、レオナはLDHの社員だということも分かった。
目が覚めてから3日目。
今日までHIROさんと最初に会ったスタッフさんが時々顔を見に来てくれた。
それ以外の面会はなかった。
HIROさんの話では…この身体の私は両親を早くに亡くしているようだ。
他の見舞いについては、私の記憶が混乱していることを理由に面会謝絶にしているとのことだった。
正直、誰が来たところで私は知る由もないのでその配慮はありがたかった。
この子が眠りにつく前に一体何が起きたのか、何だか聞きにくい雰囲気で未だに聞けていない私。
そして、自分自身も目覚める前に何をしていたのか思い出せずにいた。
周囲の人は私のことを記憶喪失だと思っている。
まぁ確かに…レオナさんの立場からしたらそんな感じだろう。
脳には異常が見られず、記憶が戻るには少しでもいつも通りの生活を…と言うことで今日の退院が決まった。
HIROさんといつものスタッフさんが迎えに来てくれたけど、「会わせたい人がいるから」と待たされている………。
誰だろう…会わせたところで分かるはずがないのに…。
しばらくすると、廊下から賑やかな話し声がしてくる。話し声は段々近づいて来て、病室の前に来るとピタリと止まった。
少しの間の後、静かに扉が開き、緊張した面持ちでぞろぞろと7人の男が入って来た。
「……!?」
あまりの衝撃で口をおさえた。
………………嘘でしょ………?
未だに聞きなれない自分の声が絞り出すように呟いた。
「…………………三代目…………?」
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作者名:まる | 作成日時:2017年12月15日 9時