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「いきなり全部説明して混乱すると良くないから…」と、事務所の人には口止めされていたらしい。
さや「でも、自分だったら知らない方が不安だし…だからレオナが聞いてきてくれたら、全部話そうと思ってた。その後、レオナが辛くなっても一緒に悩むことはできると思ったから。」
あー、本当に良い子だな。
さやちゃんが話し始める。
この身体の私は今年29歳になったらしい。
(とりあえず…10個まではいかない年の差で少し安堵。)
24でさやちゃんと今の事務所に入り、さやちゃんは主に事務仕事、私は現場で雑用のような、マネージャーのアシスタントのような仕事をしていた。
私が三代目の担当になったのは3年前。
そして…登坂さんと付き合うようになったのは1年前だった。
レオナからの猛烈アタックだったって苦笑いのさやちゃん。
…一体どんな頑張り具合だったのか…他人事なら興味津々だったけど、自分ごとになると怖くて聞けなかった(笑)
ただ、ここからさやちゃんの表情が曇った。
さや「あんまりね、最近うまくいってなかったの…」
その言葉に驚きはしなかった。
登坂さんが私を見る目はずっと悲しそうだったから。
さや「臣は別れようとしてた思う。それにレオナも気づいてた。でもどうしても別れたくないって。レオナ、何とか気を引こうとして…他の人とわざと遊びにいったり、身体壊すような飲み方したり…最近は…結構ボロボロで…何するか分からなくて、臣も別れようって言うに言えない雰囲気だったの…。」
……………………
さや「あの日…、海に落ちた日…。多分、臣は最後の話をしたんだと思う。メンバー全員と仲良いスタッフさんと海にバーベキューしに行って…久々にレオナと臣が2人で海岸に歩いていく姿を見た。皆、見守るしかできないからそっとしといたの。しばらくして…ビチャビチャに濡れた臣が真っ青な顔をして、同じくビチャビチャに濡れたレオナを抱っこして救急車を呼んで!って戻ってきた。レオナの意識はなかった…。」
…………………
なんて言ったらいいのか…分からなかった…。
でも、とりあえず、彼…登坂さんの心を少しでも軽くしなければと思った。
きっと、今回のこのことに対して、すごく責任を感じているはずだ。
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作者名:まる | 作成日時:2017年12月15日 9時