【.f.j.】あなたの魔法にかけられて…Ⅰ (ページ5)

今日:5 hit、昨日:13 hit、合計:22,012 hit

第2話ページ5

A視点

遅めの朝、目が覚めて
いつもと違う景色で少し驚く

引っ越したんだった……

起き上がって、まだ片付いていない部屋を見渡した
何もかも変わったのだ
唯一変わらないのは、自分一人しかいないこと

親は、私が中学に入った時に私を置いて海外へ行った
それから親の顔は写真でしか見ていない

いつの間にか親がいないことが私の'普通'になり
きっと、これからもそれは変わらない

『今日から挨拶回りしなきゃ』

昨日スーパーで買ったパンを食べ、身だしなみを整え、外に出た

まだまだ肌寒い
肩をすくめながら家々をまわった

.

一通り挨拶を済ませ、
残りは、昨日いつの間にか居た「藤崎」さんの家だけ

((ﾋﾟﾝﾎﾟ-ﾝ

……なかなか出てこない……

『留守なのかなぁ………』
もう一度インターホンを押そうとすると、

｢すみません、すぐに出られn……あ…｣

目が合った
昨日は暗くてよく見えなかったけど、
こんな顔してたんだ…

『…隣に引っ越してきた、柊です』
「柊さん…ね…」

玄関に居た彼は門扉まで出てきた

「昨日も言ったけど、藤崎です」
『これからよろしくお願いします……
あ、そうだ、これ……つまらない物ですけど………』

そう言ってお菓子の箱を渡す

「わざわざありがとう」
『じゃあ、私はこれで』
「うん」

少しぎこちなくなってしまった
でも、そんなに会うこともないだろうから
大丈夫………だよね？