【.f.j.】あなたの魔法にかけられて…Ⅰ (ページ35)

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フジ視点

フィルマに彼女の誘導を任せて、街の上を歩く

『すごい……歩いてる！』

彼女は子供みたいにはしゃいでいた

「あんまり遠くに言っちゃダメだよ？」

『うん！
わぁ……月も少し近く見える』

偶然にも、空の満月が俺たちを見つめていた

月明かりに照らされた彼女をみて、ますます最初に会った時を思い出す

思わず、彼女の手を掴み引き寄せた

『……っ！』

「ごめん、今だけこうしていたい」

『……』

俺の力をすべて使って、優しく抱きしめる

なるべく彼女が怖がらないように

鼓動が大きく聞こえる

「俺、最初に会った時から、
あなたのことが好きでした」

あなたのことを守りたいって思った
もし、俺の恋が寂しく散ったとしても後悔はしない

『……もし、目の前に朔彌が現れたら…
…酷いことされたら…
私のこと………守ってくれますか………？』

顔を上げ、見つめてくる
答えはもう決まってる

「守るよ、もう辛い思いなんてさせない」

彼女は大粒の涙を流した

その涙を指で拭い、濡れた頬に口付けをした

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