Storm's a moment vol.5 (ページ40)

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GUTS! ページ40

side 櫻井

2017年の6月以降、何度も話した

メンバーとも勿論旭灯とだって、数え切れないくらい話し合って思いの丈をぶつけ合った。

その中で一度も涙を見せなかったのが旭灯

俺も相葉君も松潤も智君もニノだって泣いたのに、旭灯だけは声が震えて目がウルウルしてたって

毅然と智君の想いに向き合って、一番最初に智君の想いを受け入れたのが旭灯だった。

宝塚での公演と公演の間を縫って、ずっと智君の胸の内を聞いて

自分の想いを言葉にするのが苦手な智君の通訳的な役割を、旭灯がいの一番にやってくれた。

そうして“嵐を辞めたい”という言葉の中に隠れていた智君の想いを、全員が正しく共有できた。

嵐が嫌いになったわけじゃない

オレらを嫌いになったわけでもない。

ただただ、外の空気を胸一杯に吸ってみたい

まだ見たことのない世界を見てみたい

気の向くまま、風まかせな日々を過ごしてみたい。

そんな事考えながら仕事してるのは、嵐として活動してるのは

智君にとって赦されない事だった。

オレらにも、ファンの人達にも申し訳ないからって。

そんな事全部引っ括めての“辞めたい”という申し出だった

考え方が潔いと言うか、智君らしいと言うか……。

散々嵐全員で話し合って、社長含めた事務所の人に想いを伝えてから直ぐにだったと思う

事務所からは“お休み”にしないか、という提案がなされた。

あの時の驚き様から、ホントに許されるなんて思ってなかったんだよ、あの人

…まぁ、正直オレらもビックリした

あんなに必死になって止めてくれんだ、って。

これはもう大野智という男の人徳っつーか、今まで築き上げてきたものが出た瞬間だった様に思う。

一度決めたらテコでも動かない、松潤のブリザードさえも凌駕する頑固さで跳ね返す智君は、もう揺れに揺れた

あの瞳一杯に涙を溜めて、やっと手を伸ばしてくれた。

伸ばされた手を5人で精一杯握って、大事に胸の中に抱え込んだ。

智「ー…ごめん……、ありがと、」

震える小さくて華奢な智君の背中を摩りながら、オレらは“待つ”という決意を固めた。

どんなに時間がかかろうが、この手をもう一度握って6人揃って、笑い合おう。

智君に“甘えて”貰って、解散危機はようやく決着した。