Storm's a moment vol.5 (ページ20)

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pleasure ページ20

side 櫻寺

高揚感に包まれた会場を出て、歩道をゆっくりゆっくり人の流れに合わせて歩く。

この夢見心地の様な幸福感と、程よい疲れ

嵐のコンサートに来てくれる人達も、こんな風に夜風でちょっとずつ染まった頬を冷ましながら帰るんだろうか

なんて想像してみる。

駐車場から伸びる車の列に、ガヤガヤと興奮冷めやらない、といった楽しそうな声

まだまだお祭り気分が抜けそうにもなくて、テールランプさえも照明の１つに見える。

翔「ー…あ、ウッチー？今出たんだけど……、あぁ、了解。はいはーい」

『ーウッチーの車で帰るんでしょ？』

翔「そうそう。ウッチーの車分かる？この信号の先にいるらしい」

『ん。分かる、任せといて』

翔さんと手を繋いだまま、夜道を歩く。

そう言えばこうやって2人で、しかも手を繋いで歩くだなんて初めての経験かもしれない。

誰に憚る事もなく、他人(ヒト)の目を気にすることなく

翔さんと歩ける様になったんだと、改めて実感する。

翔「ー…なに……？手ばっかり見て」

『ん？ふふふ、何でもない』

翔「ご機嫌ですねぇ、お嬢さん」

『うん。明日からまた、絶好調超！だよ』

翔「アッハハハ！それは何よりです」

顔をクシャッとさせて笑うところ

そんな時、上下する両肩も

仕事以外では、ほんの少し粗雑になる口調

もう耳に馴染んでる、低くて甘い声も

悩んだ時、立ち止まった時

時には背中を押し、時には手を引いて導いてくれる

大きくてあったかい手に出逢えた事全てが

私の人生最大のpleasureで

20年を迎えようとしている嵐は、かけがえのないtreasure。

どんな宝石にも、金銀財宝にも敵わないtreasureを

みんなで大事に大事にこれからも育んで行こう。

明日、またみんなで笑っていられる様に

今日精一杯生きよう。

『We'll be alright、……だねぇ…』

翔「焦ってもいい事ねぇからな。俺らは一歩ずつワイワイしながら、が性に合ってる」

来たる20周年記念ツアー

新たなpleasureを探しに行こう。