Storm's a moment vol.4 (ページ29)

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そんなの… ページ29

side 櫻寺

増田「ー……あの…、翔君、旭灯ちゃん」

ソファから床に降りて正座したまっすー。

その顔は今にも泣きそうで、翔さんと並んで黙って

まっすーの“声”を聞く。

増田「ー…あの、今回は本当にウチのメンバーが、失礼な事をしでかしまして…。本っ当に申し訳ありませんでしたっ！！！」

床に額を擦るつける様に頭を下げたまっすー

その両手が痛々しいくらい、凄い力を込めて握りしめてあって

チラッと翔さんを見ると、翔さんも気付いていたのか、小さく頷くと

手を伸ばして、震えるまっすーの肩を叩く。

それを合図に顔を上げたまっすーの目に、翔さんの笑った顔が映った

あぁ、クリクリの目がまぁるくなってる。

翔「ーうん、分かった。メシ食った？まっすー、藤ヶ谷達まだだけど、ちょっと食っちゃおうよ」

増田「ぅえ、あ……、ハイ…」

唖然とするまっすーに、ノンアルの入ったグラスを渡す。

翔「………別にさ、100人が100人ともオレらのコンサート、いいね！って言ってくれるなんて思ってないし」

翔「そりゃあ、そのくらいの意志と準備はしてるけど……、人の好みなんて千差万別であって、オレらを好いてくれてる人がいる様に、NEWSを好いてくれてる人が居るワケじゃん」

増田「はい、」

翔「その人個人の好き嫌いを、とやかく言うつもりは微塵もないし、オレらは観に来てくれる人達に、応援してくれてる人達に、オレら嵐がやれる事全部出し切るだけだから」

翔「ー…正直さ、そこまで気が回んねぇんだよ。嫌いなモノを好きだって言わせるよりも、好きだって言ってくれてる人たちを、どれだけ笑顔に出来て、良かったね！楽しかったね！って言ってもらえるか。それだけなんだわ」

『ー子どもがね、生まれて来る場所を選べない様に、私達も応援してくれるファンを選べないじゃない』

『上から言ってるんじゃなくってね、応援してくれる人達も、“あなたは今日から嵐を応援して下さい”とか“あなたはNEWSを応援して下さい”って割り振られる訳じゃない…でしょ？』

『だからこそ、大事にしなきゃいけない。ファンはちゃんと見てるよ、小さな小さな綻びもちゃんと気付く。ウソで塗り固めたって、その真新しい色に、そこに傷があったんだ、って見られたくないモノがあるんだ、って気付くからね』

増田「………………、」

『ファンは盲信的に見られがちだけど、バカじゃない。信じていた分、離れるのは早いからね』