53(諸伏景光/番外編3) ページ5
夜
クラブ活動を終え、夕食と風呂を済ませた諸伏は、一足先に図書室にて勉強をしていた。
先日、国家公務員1次試験に合格したアリシアと諸伏は、2次試験へ向けて再び2人で定期的に勉強会を開いていた。
「景光、お待たせ。」
「ア・・・アリシア、お疲れ。今きた所だから大丈夫だよ。」
諸伏はタイトなTシャツを着たアリシアの強調された胸に思わず視線がいき、一瞬言葉に詰まらせると平静を装い笑みをはりつけた。
諸伏は不思議で仕方なかった。何故だ?何故彼女は今日に限ってこんなタイトなTシャツを着ているのだ?普段はもっとゆったりとしたものを着ていたはずなのに・・・と隣に腰かけたアリシアを盗み見しながら自問自答し、手に残る彼女の柔らかい胸の感触を思い出してしまい内心穏やかではなかった。
「・・・ねぇ?・・・ねぇってば、景光聞いてる?」
「!!あぁ、ごめん。何の話だっけ?」
「どうしたの?あなた変よ、さっきからずっと上の空というか・・・?」
アリシアは諸伏を心配そうに覗き込む。
整った顔立ちに、お風呂上がりの石鹸の香り、そして何より嫌でも視界に入ってくる豊満な胸・・・
(で、どうだった?Eカップくらいあった?)
諸伏は呪いのように萩原の言葉が頭の中でリピート再生される。諸伏の脳内はパンク寸前だった。
「ア、アリシア!!ちょっと・・・。」
「景光?いきなりどうしたのよ?!」
諸伏はガタッと勢いよく席を立ちあがると、己のジャージの上着をアリシアに着せる。
「これ着てくれ。」
「え?嫌よ熱い。」
「・・・あぁあ!もう分かった!ちょっとこっち来て!」
諸伏はアリシアの腕を強引に掴むと図書室を後にし近くのお手洗いまでつれていく。
「ちょっとここで待ってて。」
「??」
諸伏はそういうと、全力で走りながら男子寮の方角へと消えていった。アリシアは不思議そうに小首を傾げながら、諸伏の背を見送ると、数分もしないうちに彼は手に何か持ちながら息を切らして戻ってきた。
「アリシア、これに直ぐに着替えて!」
「これって、景光のTシャツ?なんで?」
「ここまできて理由分からないのか?」
「・・・・さっぱり。」
諸伏は酷く疲れたように溜息をつく。
「君はもう少し、女生としての自覚を持つべきだ。そんなボディラインが強調されたTシャツを着るんじゃない!ここはただでさえ男性が多いんだぞ?」
諸伏は顔を少し赤くしながら真面目にアリシアに訴えた。
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作者名:ユウナ | 作成日時:2019年7月18日 21時