50(降谷零/番外編3) ページ2
降谷は先日の爆弾事件以来、アリシアを見る目が180度変わっていた。あの日、アリシアの口から真実を聞かされた日、彼女を今まで散々疑ってきた降谷は酷く自分を恥じた。
同い年でありながらも、アリシアの国のために尽くす覚悟、大義と正義が明確にあり、亡き友との義理と人情も持ち合わせていた。
真面目で努力を惜しまない性格だ。
突然料理を教えて欲しいと頼まれた時、降谷は直ぐに察した。アリシアは親友の忘れ形見の為に、料理を作れるようになりたいのだろうと・・卒業すれば、彼女は一児の母になるのだ。
一生懸命野菜と格闘するその横顔は真剣そのもので、アリシアは全て切り終えたキュウリを嬉しそうに一枚つまみ上げ、降谷に見せようとしたが・・・
「あれ・・・?」
1枚つまみ上げたはずが、キュウリはビローンと全て繋がっていた。アリシアは顔をしかめながらキュウリを睨む。
そんなアリシアの仕草に思わず降谷は微笑んでしまった。
「よくそんな切り方ができたな。その方がよっぽど難しいと思うが?」
「褒めてるのそれ?」
アリシアがキュウリから降谷に視線をむけ不機嫌に見つめる。
「料理ばかりは慣れしかない。学校にいる間、お互い時間が合えばいつでも教えるよ。その様子だと食材の選び方も知らないだろ?」
「選び方なんてあるの?」
案の定、何も知らないアリシアは降谷に問い返し、彼は次にトマトを渡しながらいった。
「・・・来週の外出届け出しておけ。選び方を教えてやるから。」
「・・・うん。」
アリシアは降谷の提案に少し驚きながらも快く頷いた。
降谷はアリシアの横で、トマトのくし切りの手本を見せながら、おもむろにいった。
「アリシア・・・・。」
「何?」
「君はきっと、良い母親になるよ。」
降谷の言葉にアリシアの頬は少し赤くなる。それを悟られないように、アリシアは直ぐに手本の真似をしトマトと包丁に視線を落とすと俯きながらボソッと言った。
「・・・ありがとう。」
こうして降谷による料理教室は定期的に行われることになった。出来上がった料理はいつもの4人を呼び出し食べてもらう事になり、週末の昼は学生食堂で皆で食事を囲むことが後に習慣になったのだった・・・
番外編 アリシア クッキング END
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作者名:ユウナ | 作成日時:2019年7月18日 21時