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怒る親友を他所に、私はマイペースに食べたり飲んだり続ける。
すると、私の目の前に座る男は可笑しそうに笑いながら私を見た。
「いやぁー、綾乃さんって面白いね。俺、よく食べる人好きだよ。」
だから何?あなたの趣味に興味はない。って言いたかったけど、流石に空気を読み口を慎む。
てか、この人の名前なんだったっけ?覚えてない。
「それ、美味しい?一口ちょうだい。」
「えっ、嫌で「どうぞどうぞ!召し上がってください!」
私の言葉を遮るように口を挟む香は愛想の良い笑顔を浮かべて、私の食べていた皿を持ち上げて男に差し出した。
男もまた女受けしそうな爽やかな笑みを浮かべてシェアした食事に舌鼓した。
香はあからさまな行為を目の前の男に示しながら、話を始める。
だが男は何故か時折私に話を振ってきて正直面倒臭かった。
苦痛の2時間をやり過ごした(食い尽くした)私は、そそくさと退散し帰路につこうとした。
そう、つこうとしたのだが・・・
「綾乃ちゃん、二次回行かないの?」
さっき、私の前に座っていた男だ。てか、いつのまにちゃんづけ?
「明日朝早いので。」
「えぇー?香ちゃんはからは綾乃ちゃん明日休みで家に引きこもってるって聞いたんだけどな?」
恨むぜ親友!!!
「急遽用事が入ったんです。それに、体調もあまり良くないので、お先に失礼します。今日はご馳走様でした。では!」
私は早口にまくし立て、回れ右をして駅を目指して歩き始める。
「じゃ、駅まで送っていくよ。」
「いや、大丈夫です!」
私は断りながら逃げるように先を歩こうとすれば、男は馴れ馴れしく私の腕を掴むとメチャクチャ近い距離に顔を近づけてきた。
距離感おかしいからこの人。
私は必死にその手を振りほどこうとすればするほど男は力を込める。
私は助けを求めようと後ろを振り返り香達を探したが、彼女達は既に姿を消していた。
焦っている私の隙をつくと、男は薄暗い路地裏に私を連れて行く。
「手を離してください。離さないと叫びますよ!!」
「これでも叫んでみる?」
「!?」
男は懐からナイフを取り出すと私の首筋にあてた。
私は恐怖から身体がガタガタと震え、涙目になる。
「いいねぇ〜、その顔。堪らないよ。食事しながらさ、ずっと綾乃ちゃんのそういう顔を思い浮かべていたんだよね。」
男は私の耳元で囁くと、首筋に舌を這わした。
ゾクゾクと背中に悪寒が走る。
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作者名:ユウナ | 作成日時:2019年8月8日 9時