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神原は激怒した。
「おい、神原！ここ間違ってるぞ。修正しておけ。お前の目は節穴か？」
「あっ、はい。すいません、すぐに直します。」
もちろん、心中で。パワハラで有名な上司に、月曜日の朝から不愉快な当たり方をされている。
備品のボールペンの芯が切れていて、発注忘れていた事がきっかけで、器の小さいパワハラ上司はネチネチと私に嫌味を言ってくるわ、事あるごとに私の仕事にケチをつけてくる。
あぁー！！クソゥ〜！！もっ、ユウヤさんに会いたい吸いたい←
私はイライラを隠しながら、キーボードをガタガタと入力する。
「おい、そんな力込めて打つな。うるさいし壊れるぞ？」
私の隣の席に座る先輩は容赦も同情もなく突っ込んでくる。
「パイセン〜そんなこと言うなら、あのパワハラで上司どうにかしてくださいよー！」
「んなデカイ声だすなよ。今日飲みに連れてってやるから。耐えるんだ神原！」
「パイセンの奢りですかー？」
「そんだけ図太いんなら心配いらねぇーな。」
「打たれ強さだけが取り柄なもんで、本当転職しようかな・・。」
「せめて後釜作ってからにしろ。じゃなきゃ俺に全部お前の仕事とクソ上司のサウンドバッグにされるのは目に見えている。」
「先輩って私の事なんだと思ってるんですか？」
「都合の良い後輩・・・待てって、冗談だからリクナビのＨＰ開くのやめろ。」
こんな冗談を言い合える職場の先輩、佐藤智則は私と３つ年齢が離れている。卒なく仕事はなんでもこなし、後輩の面倒見もよい。かといって好感度を上げる為に特別愛想を振りまくわけでもない、裏表のない人で、私はこの先輩に対して信頼と好感を抱いている。何より私自身も素のままでいられる気楽な人なのだ。
スマホの待ち受けのユウヤさんのアバターＳＳを見てホッと癒されれば、ＰＣ画面に集中し仕事を片付けていく。そして心の中で早く定時こい！と呪文のように唱えながらガミガミうるさい上司の当たりをスルーしていった。
「「お疲れー乾杯！！」」
「人のお金で飲むビールと焼き鳥は最高に美味しいです。」
「だろうな。まぁ、お前の飲む量も食べる量も知れてるから奢れるんだけどな。」
「じゃぁ、一番高いお酒にしよーっと。」
「お前の中に遠慮という文字はないのか？？」
「私の辞書にはそんな言葉存在しません。」
「つけくわえておけ。」
佐藤先輩は呆れた様子で溜息をつけば慣れた手つきで煙草に火をつける。
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作者名：ユウナ | 作成日時：2019年8月8日 9時
