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(降谷視点)


常連の客から、偶然耳にした昨日の事件と発生場所、時間・・・


更には助けにかけつけた刑事らしき男性の特徴を聞いた安室は確信に至ったのだ。


(風見に間違いないだろう)


丁度風見と連絡とれなくなった時間、そして掛け直した時のGPSの位置から裏付けがとれた。


ターゲットを見失った風見を頭ごなしに説教してしまった事を降谷は少しばかり後悔するが、部下の正確な報告がなかったことに対して再び説教を・・・などと考えも過る。


仕事の合間をぬって、安室は風見に電話をかけた。



『・・・も、もしもし降谷さんどうされましたか?』


少々寝ぼけた声で電話に出た風見に降谷は簡潔に述べた。


「非番中に悪いな。今どこにいる?」


『自宅ですが・・・。』


「私服でかまわん。大至急ポアロ前の交差点へこい。着いたら車を降りてポアロ手前の横断歩道で待機だ。分かったな?」


『え?あ、っはい。』


安室それだけ伝えると、理由もはなさず携帯を切った。


(風見の自宅からここまでと考えると、後40分はかかるな・・)

時計を見ながら風見がつきそうな時間を予想し、テーブル席に座る2人の女性客綾乃と香へ目を向ける。


(彼女達はもうすぐ食事を終える。少し時間稼ぎが必要だな・・・)


安室は顎に手を当て考えると今朝作った試作品のタルトを思い出す。







「お済の食器をおさげしてよろしいでしょうか?」



「はい、ご馳走様でした安室さん。」



安室が綾乃と香の席の食器を下げにいくと香は愛想よく挨拶をする。



「それと、これよろしければどうぞ。試作品のタルトです。」


安室がサツマイモと栗を使ったタルトを出すと、女性客2人は嬉しそうに顔を綻ばせた。


「いいんですか?」

綾乃は申し訳なさそうに安室を見上げる。

「他のお客様には内緒ですよ?それに昨日は色々とお辛い事があったようですし、甘いものを食べて元気だして下さいね?」

安室は柔らかい笑みを浮かべれば、綾乃とは礼を述べながらタルトを受けとり食べ始めた。



その様子を見た安室は再び時計をみる。後30分・・・



(後は風見が来るまでにやらかさなければ問題ない)


そう・・綾乃と風見が会えるのは後は風見の運次第なのだ。



安室は知っている。風見は真面目だが、時折抜けている男だということを。

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作者名:ユウナ | 作成日時:2019年8月8日 9時

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