122話 ページ22
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
「そっちに行っていいかい？」
「やです。」
「まだツーアウトだからね。」
「さっきデッドボールしました。」
ゆっくりと立ち上がって磁磁気少女の横に座ると、彼女は逃げるように泣いている顔を背けて。
「………君は、きっと大切な人を守れるヒーローになりたいんじゃないかな。」
「ぇ…？」
「自分の大切な人を守って、自分のことも守って、大切な人のことを悲しませないヒーロー。
素敵な、ヒーロー像じゃないか。」
くしゃりと頭を撫でてやると1つ結びにされていた髪がひと房こぼれ落ちる。
「むちゃくちゃです、人を助けるのがヒーロー、でしょう。私は目の前の知らない人と私だったらきっと私のことを優先します。」
「ヒーローだって人間さ。ヒーローがいる数だけ、ヒーローが守りたい人も違う。
君は、君の大切な人を守れるヒーローになれればいい。それも立派なヒーローだ。」
彼女のことを抱きしめて上げると、彼女はグリグリと私の肩に頭を押し付けたかと思うと顔を上げて。
「頑張ります。」
「うん！いい表情だ！そんなヒーローになるためにも、もう少し私と鰻、食べていかないかい？」
「…………ホームランでいいですよ。あなたの勝ちです。」
そう言って箸をとった磁磁気少女の頭を撫でる。
「…………あとちなみに、私は高いものと甘いものが好きです。」
ふと、頬を赤くしてそう言った彼女との距離は、きっと少し近ずいたと思う。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
『磁磁気A。オリジン。』
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 810人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
co_sa_(プロフ) - シルバさん» ありがとうございます…！！凄く嬉しいです…！！ (2022年11月3日 12時) (
レス) @page33 id: 4ca7e9942b (このIDを非表示/違反報告)
シルバ(プロフ) - あぁ、何て泣けるお話…。とても素敵な作品です。頑張ってください！ (2022年11月2日 21時) (レス) @page33 id: 511cbc77f2 (このIDを非表示/違反報告)
co_sa_(プロフ) - Kumaさん» ありがとうございます…！！凄く嬉しいです…！ (2022年10月31日 7時) (レス) id: 4ca7e9942b (このIDを非表示/違反報告)
Kuma(プロフ) - めっちゃ面白いです‼︎頑張ってください！ (2022年10月30日 22時) (レス) @page21 id: a64e6fed6b (このIDを非表示/違反報告)
co_sa_(プロフ) - わたあめさん» コメントありがとうございます……！ここまで読んでいただけて光栄です…！本当にありがとうございます！！ (2022年10月25日 22時) (レス) id: 4ca7e9942b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：co_sa_ | 作成日時：2022年10月13日 20時
