311話 ページ11
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
｢今日、絶対アロマ使う。｣
｢あぁ。｣
｢アロマ、毎日使うからすぐ使い切っちゃうかも。そしたら、また一緒に買いに行ってくれる…？｣
｢あぁ、いいよ。｣
目を伏せた相澤先生は少しだけ笑って私のお願いごとを聞いてくれて。
｢約束だからね…、！｣
｢あぁ。｣
赤くなっているであろう頬を、寒さのせいにするつもりは無い。恋してる私を見て、先生の心が揺れ動けばいい。
｢送ってくれてありがとう、先生。｣
別れの言葉を切り出すと、先生はくるりと踵を返して歩き出して。
かと思うと、少しだけ振り返った先生が、意地悪な笑顔を見せて。
｢おやすみ、A。｣
｢…………ぇ、｣
キーン、なんて、耳鳴りがして、言葉が出ない。
わ、わ、どうしよう、
｢ぅ、あ、ぅ………、しょ、………、｣
言え、言ってしまえ、
ドクンドクンと心臓がうるさくて、あぁダメだ、挫けそう。
｢ぉ、やすみ、｣
言いかけた名前は喉の奥で詰まってしまって、言いたかった言葉とは別に飛び出た言葉に殴り掛かりたくなる。
もう、ばかやろう、私のバカ、
意気地無しの自分に心の中でビンタをしていると、先生がケラリと笑って。
その後に、｢言わねぇのかよ。｣なんて。
｢ッ、！しょうたさん、…、！｣
その言葉に、まるで背中を押されるようにするりと出た言葉は、彼の名前。ずっと呼びたかった、名前。
震えた手は、寒さなんかじゃない。
興奮と、緊張が入り交じった息が白くなって口の中から飛び出る。
｢……おやすみなさい、｣
｢はい、おやすみ。｣
そう言って雪の中を歩いていく相澤先生に、心が、体が震えた。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
｢わ、………ラベンダーの香り、｣
夜。先生から貰ったアロマを炊くとラベンダーの柔らかな香りが部屋を包んで。
ゆっくりと目をつぶると、すぅ、と眠気が意識をさらった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1186人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
蕎麦(プロフ) - 面白くてキュンキュンで大好きです毎日癒されてますありがとうございます…！ (2023年1月3日 21時) (
レス) id: 6e4712d906 (このIDを非表示/違反報告)
co_sa_(プロフ) - るとはさん» とっても嬉しいです…！！ありがとうございます〜！！現在毎日3話投稿継続中なのでもし良かったら毎日いらしてください😏😏 (2022年12月31日 9時) (レス) id: 4ca7e9942b (このIDを非表示/違反報告)
co_sa_(プロフ) - アニメ大好きさん» 初コメありがとうございます…！！！そう言ってくださって凄く嬉しいです…！！これからもドキドキの展開をかけるように頑張るので良かったらこれからもよろしくお願いします〜！！！ (2022年12月31日 9時) (レス) id: 4ca7e9942b (このIDを非表示/違反報告)
co_sa_(プロフ) - もぐさん» ありがとうございます…！！今のところの予定としましては、漫画部分も書く予定なのですが、ネタバレが含まれる場面には注意書きをさせていただく予定です…！これからもぜひよろしくお願いします〜！！ (2022年12月31日 9時) (レス) id: 4ca7e9942b (このIDを非表示/違反報告)
co_sa_(プロフ) - xxxさん» ありがとうございます…！！皆さんのコメントあってこその更新です🙏🙏本当にいつも読んでくださってありがとうございます…！！ (2022年12月31日 9時) (レス) id: 4ca7e9942b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：co_sa_ | 作成日時：2022年12月23日 6時
