四十六話 ページ47
貴「っ………」
座り込んで目の前の獲物に夢中なその鬼の周りには、まるで真っ赤な丸いカーペットの様になっており、その分、人を喰ったのだろうとわかる。
そんな酷い光景にAは吐き気がこみ上げたが、とっさに手で口を押さえて我慢した。
人の亡骸を見る事が少なく、彼女には刺激が強すぎだと言うわけではない。
その人ならざるものが持っている亡骸が、意識せずとも自身の無き母に見えてしまったのだ。
母はもうすでにいないはずなのに。
ガザ
その動揺で足元にあった葉が擦れ、盛大に音を出してしまう。
鬼「！！…ゔゔあがあぁぁ！！」
もはや人の言葉ですら無い掠れた声がA達の方へと向けられた。
人の言葉を理解できていないという程度の知能なのだから、柱からすればすぐにでも首を切りおとせるだろう。
だが、無一郎は動こうとしない。
この山へ来る前、Aは無一郎達とある約束をした。
「宇随と無一郎は鬼には手を出さない」と言う約束を。
当然といえば当然だろう。
何しろこの任務はAの為の任務なのだから、それを柱がこなしてしまえば意味がない。
だからこそ、その約束をしたのだが……
貴「ぅ……ぁ…」
Aは動けなかった。
頼りなく手足が震え、元から白い肌を青白くさせて口元を押さえている姿の人を食ったことのない鬼は目の前の人喰い鬼から目を背けることすらできなかった。
そこまでなるほどAの感情の左右が大きかったのだろう。
人は、自分が決めた物事を死ぬ気で達成するにはそれ相応の努力と才能が必要だ。
「何事も才能では無く、努力をすれば報われる。」
そんな言葉はただの強がりと妄想で。
実際に物事をやり遂げるには元からの才能とそれに見合った努力があってこそやり遂げることができる。
鬼を滅する事も同じだ。
例え鬼を滅する能力を持っていなければ鬼を斬れないし、能力を持っていてもその勇気がなければ鬼を斬れない。
死ぬ気で努力し、力を身につけて鬼に挑んでも、実際の死を目にしてしまったAは人を斬る勇気が無かった。
元々人だった鬼を、自分は殺せるのだろうか。
この人を苦しませてしまうのだろうか。
自分が助けたいと言うだけの、自己満足なのでは無いか。
後ろめたい感情が押し寄せ、温度の無い脈が早くなる。
そして過呼吸に陥りそうになった時、無一郎が低い言葉をAに放った。
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むぃろ(プロフ) - 麗さん» 修正しました！鬼に生きる【壱】の所もコメント下さりありがとうございます、助かります！ (2020年10月6日 16時) (
レス) id: 8e9e4a7270 (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 四十話ですが、起源ではなく機嫌だと思います (2020年10月6日 8時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
麗(プロフ) - 十九話の善逸の漢字が違います (2020年10月5日 23時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
むぃろ(プロフ) - りおさん» 学校ですか��(ﾟДﾟ)大変ですね……続編の作成には少し時間がかかりますが、できれば一週間以内には作りたいと考えていますのでたまに見に来て下さればと思います(*´ー｀*) (2020年4月16日 10時) (レス) id: 8e9e4a7270 (このIDを非表示/違反報告)
りお - おお……!ついに続編３に行きますか!私は今日から学校なのでみれる時間が減ります……(^o^;)続編ふぁいとぉ(･ω･´)ノ (2020年4月16日 4時) (レス) id: 5a5f8160c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むぃろ | 作成日時：2020年3月15日 13時
