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四話 ページ5

力があれば、この男が来る前に姉を助けられたかもしれない。
何かしらの手段を見つけられたかもしれない。


そう後悔してももう遅い。

姉だったものが、Aの目の前で転がっているのだから。


全てが遅かったのだ。



「生きたいか?力を求めるか?私がそれを与えてやる。」



貴「……………」



無惨「……いい目だ。私は鬼舞辻無惨。力を望め。そうすればお前は強くなれる。




…………お前に私の血を与えてやろう。」



切られた男の腕から出た血液がAの口に、落ちる。


その時には、重くなった瞼を開けていることは出来なくなっていた。



無惨「強き者となり、私の役に立て…A。」




……………………………



忌々しいくらいの強い太陽の光に目が醒めると。


そこにはもうすでにあの男はいなかった。



夢だと思いたかった。


後ろを振り返れば、肉片となった親の姿。

そして玄関に残された姉の着物。

鼻から入ってくる鉄の香りに何故かお腹が鳴り、涎が顎を伝う。



腹が、減っていた。



バッと肉片に飛びつき、それが羽織っている血の染み付いた服に手をついて肉片を口に近づける。


美味しそう。


お腹が空いた。


この肉を食べなければ。


その感情に頭を埋め尽くされる。



そしてそれを口に含もうとした時、玄関から赤い何かが舞い込んできた。



貴「……っ!?」




紅葉だった。


真っ赤なその色が丁度Aの食べようとしていた肉片の上へと乗っかった。


まるで意思があるかのように……



手を止め、涙が溢れる。


その時には、Aの意思は人間の時のものを取り戻し、飢餓状態を抑え込んでいた。



遠くから落ち葉を踏んで走ってくる音がAの耳に届く。


その音は驚くほど静かで、軽やかなものだった。


やがてその足音はAのいる家の玄関へとたどり着く。

ギジリと床が嫌な音を立てて軋んだ。



「……遅かったか。」



貴「………だ、れ?」



振り返りながらそう言う。

血をAに飲ませた男とは違かった。


半々の羽織をきて刀を持った男だ。



「………お前を鬼にした奴は何処へ行った。」



貴「……お…に?わた……し…が…?鬼……?」



揺れる事のない青い目がAを射抜く。

その目を見てAは自分の指先にあるものに気がついた。


それは爪だった。


貴「お……に…」



自分が、姉を苦しめた鬼となってしまった事に、Aはさらにショックを受けた。

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むぃろ(プロフ) - 麗さん» コメントありがとうございます!修正しました! (2020年10月6日 12時) (レス) id: 8e9e4a7270 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 十話の所ですが、はが一つ多い所があります。 (2020年10月5日 22時) (レス) id: 411fa15fdd (このIDを非表示/違反報告)
むぃろ(プロフ) - さくらさん» わかります!甘いもの好きなのに外行かなくて運動不足になりますし、カラオケに行く予定だったのにコロナのせいで行けなくなりました…早く夏になって死滅してくれれば嬉しいんですけどね(´;ω;`) (2020年3月3日 18時) (レス) id: 8e9e4a7270 (このIDを非表示/違反報告)
さくら - 食べれましたね!私は外出できないので太りそうです( ;∀;)極度の甘党なので (2020年3月3日 16時) (レス) id: f69b55532e (このIDを非表示/違反報告)
むぃろ(プロフ) - さくらさん» うわ…それは大変ですね!ワーク終わらせたんですか!?完全に存在を忘れていました…(−_−;)明日から投稿ペース下がったらすみませんww (2020年2月29日 23時) (レス) id: 8e9e4a7270 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:むぃろ | 作成日時:2020年2月1日 18時

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